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9月20日(金)

 手帳を開いたらぽっかりと空白になっていたので夏休みを一日取ることにした。夏休みだから本屋さんにいく。

 もちろん仕事が出版営業なので毎日本屋さんに行っている。営業として訪問するのは日々5軒から10軒ほど。雨が降ろうが雪が舞おうが台風で電車が止まらない限りは四半世紀以上、毎日本屋さんに行っている。そして仕事が終われば駅へ向かう道すがらやっぱり本屋さんを覗いている。

 でもそれは本屋さんに行っているけれど、実は行っていないのだ。本を見ているようでしっかりは見ていない。棚を眺めているようで、きちんと眺めていない。いつも仕事が気になって、あるいは閉店時間や帰宅時刻を心配し、焦りを抱えて棚や平台を見ているのだ。だからあの本もこの本も出会いそびれている。

 いやそんなことではない。本当の意味で本屋さんに行く喜びは、空を眺めるのに似ている。あるいは海を眺めるのに似ている。そういえば最近、空も、海も、眺めていない。

 1時間ほど店内をうろうろして本を6冊買った。9,558円。
 月に一度、1時間本屋さんで過ごし、1万円本が買えたらどんなに幸せだろうか。

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