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9月7日(月)

 こんなにも物語の間や行間を読み、書かれていないことに思いを馳せる小説があったとは......。柴崎友香『百年と一日』(筑摩書房)読了。

 小説を読んでいてこれまで体験したことのない世界に連れて行かれた気がする。いやこれまで感じていた魅力を最大限に引き出されたのかもしれない。

 一編一編は10ページに満たないとても短い物語で綴られているのだけれど、そこでは様々な場所に流れた長大な時間が描かれる。時とともに物理的に、あるいは関係性が変化してくのは当然のことなのだが、それらは誰かの記憶になっていつまでも残っている。

 記憶ってなんだろう。時間ってなんだろう。生きるってなんだろう。地名も極力登場人物の名前も記されない物語は、まるで自分のことのように感じられ、自身の忘れていたようなことを思い出させる。

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 7時に出社。時折ゲリラ豪雨。「本の雑誌」10月号の部数確認。八重洲ブックセンター本店さんで始まるフェアのPOPを作成、キンコーズへ出力に行く。丸善丸の内本店さんに『絶景本棚2』『マルジナリアでつかまえて』『本の雑誌の坪内祐三』の追加注文分を直納。その後は書店さんを覗く。

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