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10月12日(月)

  • おべんとうの時間がきらいだった
  • 『おべんとうの時間がきらいだった』
    阿部 直美
    岩波書店
    2,090円(税込)
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 7時に出社。

 9月からはほとんど毎日出社するようになっているのだが、月曜日は7時出社、火曜日は7時15分出社、水曜日は7時30分出社と早出するものの、木曜日には心がくじけて9時半出社となり、金曜日は会社に行くのにも相当な気合を入れねばならぬわけで、新型コロナが蔓延しニューノーマルな暮らしになったところで、私の筋金入りの怠け心はそうやすやすと変わるわけではないのだった。

「本の雑誌」11月号搬入。今月の特集は、「出版で大切なことはすべてマンガで学んだ!」。なんといっても我が座右の書は『編集王』だ。

 今月の巻頭グラビアで撮影させていただいた明屋書店中野ブロードウェイ店さんが、バックナンバーフェアを開催していただけるとのことで、セブンイレブンのコピー機でフェア看板をプリントし、貼りパネに貼って持参。それとともに追加注文をいただいた新宿の紀伊國屋書店さんに『英国ロックダウン100日日記』を直納。またコロナ禍で助っ人アルバイトの出社を制限しているため、直扱いの書店さんや古本屋さんにできたばかりの「本の雑誌」を届けて廻る。「本の雑誌」は創刊45周年らしいが、やっていることはまるで変わっていないのだった。

 阿部直美『おべんとうの時間がきらいだった』(岩波書店)読了。

 大嫌いな飛行機に乗るときに唯一楽しみにしているANAの機内誌『翼の王国』の人気連載「おべんとうの時間」の書き手である著者の半世記なのだけれど、これがすごい本だった。

 ルーティーンが崩れると怒鳴り散らす父親、その父親の言うがまま耐え忍ぶ母親、留学するまでそのがんじがらめの家族のなかで怯えながら暮らし、そして夢だったアメリカ留学の先では、コミュニケーションの壁にぶち当たる。その中心にはいつも食事があり、その食事(お弁当)から家族というものを見据えていく。

 相当の覚悟を持って向き合い、そして吐き出された、家族という一見簡単そうに見えて最も理解不能な関係性に迫った素晴らしい本だ。

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