[前月号へ]

2016年8月 セミ取り夜明け号 No.398

8月 セミ取り夜明け号 No.398
特別定価:840円
取次搬入:2016年7月11日
(一部地域では2,3日遅れることがあります)
商品を購入する
>> Amazon.co.jp

訃報から2か月半。4月20日を境に吉野朔実はいない、という事実をいまだに受け入れらずにいる人は少なくないだろう。しかし、いつまでも哀しいねえと嘆いてばかりいたら、吉野さんは「しっかりしろ」と怒るに違いない。そこで今月は吉野朔実という表現者の業績と人となりを振り返ってみることにした。朋友清原なつのの追悼マンガに桜庭一樹の追悼エッセイ、本誌連載「吉野朔実劇場」の登場人物12人によるおくる言葉集にアシスタント座談会、歴代担当者の声に藤本由香里の吉野朔実世界の分析、名言集に全漫画紹介、そして幻の原画を掲載する巻頭カラー口絵8ページまで、一挙50ページの追悼特集。25年間の本誌連載の御礼として、そして35年以上にわたり素敵な漫画を読ませてくれた御礼として開催する本誌なりの偲ぶ会である。さようなら、ありがとう、吉野朔実さん!

新刊めったくたガイドは、酒井貞道がジャズ・デント三部作を青春ミステリーの最高峰だ!と太鼓判を押せば、都甲幸治は無名の人々の生を描く『ワンダーボーイ』に感服。大森望が小林泰三の記憶ネタ見本市を見よ!と声を上げれば、円堂都司昭は怖いけど面白い『ブラック・ドッグ』におったまげ。沢田史郎が奥田亜希子『ファミリー・レス』にどっぷり浸かれば、青木大輔は江戸前カレイの秘密におっとびっくり! そして北上次郎は異色の老人小説(?)『半席』がすごいぞ!と大絶賛。表題作を読んで慶次郎縁側日記シリーズを思い出したのはなぜか。その答えは89ページだ。

そして今月はお待たせの上半期ベスト1も発表。2016年5月末までに出たエンターテインメントから独断と偏見でベスト10を選ぶエンターテインメント・ベスト10座談会に読者が選んだベスト1の2本立てだ。エンターテインメント・ベスト1に輝いたのはダメ男大好きおじさんが「小説は××だ!」と推す『○○の○の○○○に』!さあ、読み逃し本をチェックしたあとは、団扇にスイカに蚊取り線香を用意して、活字三昧ニッポンの夏といこう!

今月は図書カード三万円使い放題!に米澤穂信が登場!新宿紀伊國屋書店本店全フロアを踏破し、鷹のような眼で犬のように喜び回って購入した本とは何か!?52ページを注目だ! そして読み物作家ガイドはとみさわ昭仁が吉村昭の10冊を厳選。「昭」つながりで無限のコレクターが選んだ記録文学の大家の10冊は144ページだ。さらに西村賢太の「文豪ばかりが作家じゃないと、いつか教えてくれた人たち」がWEB本の雑誌へ移動のため急遽最終回なら、平松洋子「そばですよ」のツボちゃんと早稲田界隈の巻もいよいよ佳境。いざ、特別企画も連載陣も絶好調。本の雑誌8月特大号152ページ一気読みで、夏の猛暑もぶっ飛ばそう!

目次

特集:さようなら、吉野朔実

吉野朔実の絵仕事「ぶ〜けの時代」
ぶ〜けを遠く離れて 清原なつの
吉野朔実のいた世界 桜庭一樹
吉野さんのこと
 入江敦彦/吉田戦車/目黒考二/春日武彦/三澤真美恵/中川いさみ/西田 薫/澤田康彦/藤田千恵子/山本充/とみさわ昭仁/平山夢明
アシスタント匿名座談会/パブリックイメージとのギャップが面白い!
歴代担当編集者の声 駒形 了/湯浅生史/明間浩樹
うつしあう鏡、共鳴する夢〜吉野朔実と精神分析的世界 藤本由香里
吉野朔実作品名言集
吉野朔実全漫画作品紹介 徳永圭子・大塚真祐子・入江敦彦・根岸裕子・橋本麻里

特集:上半期ベスト1

エンターテインメント・ベスト10座談会
読者アンケート/私の上半期ベスト1!

新刊めったくたガイド

ジャズ・デント三部作は青春ミステリーの最高峰だ! 酒井貞道
無名の人々の生を描く『ワンダーボーイ』 都甲幸治
小林泰三の記憶ネタ見本市を見よ! 大森 望
怖いけど面白い『ブラック・ドッグ』にたまげる! 円堂都司昭
奥田亜希子『ファミリー・レス』に どっぷり浸かる! 沢田史郎
江戸前カレイの秘密にびっくり! 青木大輔
異色の老人小説(?)『半席』がすごいぞ! 北上次郎

暗殺者グレイマンの“本土決戦”に燃える! 宇田川拓也
甘え上手をめざして 小野一光
取材攻勢 堀部篤史
千里眼を持つ母と家族の姿を描くジョイス『人生の真実』 山岸真
このあえかなる陰影を(後篇) 秋葉直哉
謎深き戦前のグラフ誌 彩古
どちらのご出身で? 今尾恵介
〆切 栁下恭平

図書カード三万円使い放題!/鷹と犬 米澤穂信
文豪ばかりが作家じゃないと、いつか教えてくれた人たち /石浜金作 西村賢太
ユーカリの木の蔭で/イギリスの与太郎 北村 薫
着せ替えの手帖/スーツ妄想 内澤旬子
サバイバルな書物/西洋文明の完敗 服部文祥
読む京都/はんなりほっこりの地表の下をさぐる 入江敦彦
新旧いろいろ面白本/民謡のふるさとを訪ねる深く上質な旅紀行 椎名 誠
坪内祐三の読書日記/ツボちゃんも東大に行っていたら「フォアグラのパテ」になっていたのかな? 坪内祐三
連続的SF話/失われた作品 鏡 明
南の話/結局、みんな、いい本なの? 青山 南
そばですよ/坪内祐三さんと早稲田界隈 3 平松洋子
鬼花──鬼刑事・花篤好美/取調べ室で煙草は吸わないで 中場利一
コンピュータをつくる 円城 塔
「ピーナッツ」の全集が完結! 風野春樹
プロ棋士に挑んだ山口瞳の奮戦記 若島 正
感動のあまり一句。「小松崎 茂の妻が 美人すぎ」 矢口 誠
ホリイのゆるーく調査/筒井康隆文庫の古書価を調べてみる 堀井憲一郎
歩く旅/大連へ渡った古本屋たち 沢野ひとし
吉村昭の10冊/テーマは生きることと死ぬこと とみさわ昭仁
掲載図書索引

続・棒パン日常/吉野さん・その2 穂村 弘
三角窓口/現役警官読者に『教場』の感想を聞きたい!他
本屋の帰り道 徳永圭子

今月書いた人
今月本の雑誌に遊びに来た人
後記

[前月号へ]