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山内 克也の<<書評>>
プリズムの夏
【集英社】
関口尚
定価 1,470円(税込)
2003/1
ISBN-4087746275
評価:D
精神的に追いつめられた女性を救うべく、二人の男子高校生が奔走する姿を活写していて、それなりに胸がすく。だが、今日び高校生って、そんなにストイックなのものだろうか。
ネット上で自殺願望の日記を、主人公らが読み、書き手を省察しはじめる。この日記はこの小説の屋台骨となり、彼らの行動をかき立てる一つの材料となる。だが、膨大な数に上るネット日記の中で、高校生がなぜこの日記に興味を引くのか。偶然性で片付けるにしても、今ひとつ、彼らの心象説明に説得力がない。さらに、ストーリーを都合よく進展させていくという作者の意図がはっきり透けてみえる。
腰巻きの選評に「まっすぐな視線にたじろぐものがあった」と賞しているが、あまりにも「ええかっこしい」高校生の描写はかえってしらけてしまい、「たじろいで」しまった。
ねじの回転
【集英社】
恩田陸
定価 1,680円(税込)
2002/12
ISBN-4087745856
評価:C
本書のモチーフとなる二・二六事件は、確か、宮部みゆきの「蒲生邸事件」にもSF調で書かれていた。戦時体制へ急行する日本の転換点というべきこの事件は、「もし成功していたならば」との、歴史をいじくる格好のテーマなのだろう。宮部作は現代の若者がタイムスリップし、事件にかかわる人物を時代の流れとしてドラマ的に描き、歴史の動きに従順。一方、恩田作では、岡田首相、鈴木侍従長が暗殺されるなど、過去と未来の時空ベクトルが交互する凝ったSF手法で「歴史上のイフ」を崩し、クーデター成功の期待へ息弾ませる青年将校たちの姿を映しだしている。
ただ、歴史的な考証となると、いくつか引っかかる。事態収拾にまごつく戒厳司令部幹部に石原完爾が叱責する場面で「わが、帝国陸軍は百年は市民に信用されまい」の「市民」とは、英語で言う「Civilian」の意味だろうか。創作とはいえ当時、仮にその意味だとしたら、石原はかなりのリベラルな思想の持ち主。石原の人物像とは似合わないそのセリフに眉をひそませてしまった。
つむじ風食堂の夜
【筑摩書房】
吉田篤弘
定価 1,575円(税込)
2002/12
ISBN-4480803696
評価:B
本の良さは、何もストーリーの善し悪しだけではなく、本の造り、いわば装幀美いかんで読書欲が沸き立つ場合がある。本書はその典型。カバー絵は黒を基調にポツンと黄色く輝く一つ星。白いタイトルの字体は、明朝体をコピーで拡大したような「ゆがみ」がかたどられ、全体的にシンプルで温かみを感じさせる装幀に仕上がっている。
物語も味わいがある。果物屋の青年や古本屋のオヤジ、変わった帽子を作る店主らが、店先につむじ風が吹く食堂で交わす雑談のたわいなさは、人情深い街の姿を描き出す。舞台女優と、研究家肌の主人公との関係が、恋愛への予感をはらませ、物語にぴりりと緊張感を与えてくれる。
本を手に取るだけで親しみを覚え、ページをめくると安らぐ、装幀とストーリーがマッチした好著。やはり、本の造りは凝った方が読むときに贅沢さを感じさせる。
滑稽な巨人
【平凡社】
津野海太郎
定価 2,520円(税込)
2002/12
ISBN-4582831370
評価:A
タイトルの妙味に加え、数多くの失敗談をあげつらねながら、明治の偉人を書き記した評伝をこれまで読んだことがない。本書で描かれている坪内逍遙の人生を貶める気はないが、読了感は抱腹絶倒。歴史的に名だたる劇作家を「なみはずれた音痴というだけでなく踊りもだめ。楽器もだめ。先生はピタリと正坐して批評するだけ」と、まるで有害無益のごとく書き記す著者の大胆さ。実際逍遙がそうであるにしてもほかに表現がないものか。と読む側がはらはらしてしまう。
かえって逍遙の失敗談を繰り返すことで、明治期の作家たちが、革新的な芸術文学を試そうとする熱情がひしひしと伝わる。特に、養子、養女をとり、寄せ集めの家族で、新しい劇を作ろうとする逍遙の着想と、それを推進する意志の強さは、今でも想像を絶する行為。一時期ながら「明治」という時代にもラジカルな断面があったことに感心さえしてしまった。
ソーネチカ
【新潮社】
リュドミラ・ウリツカヤ
定価 1,680円(税込)
2002/12
ISBN-4105900331
評価:B
主人公ソーネチカは、怪物的な視聴率をとったNHKの朝ドラ「おしん」を想起させる人物。とにかく、けた外れの「我慢強さ」を内包する持ち主だ。極寒の土地で、ソビエトという監視国家の中で生き抜く女性とは、こうも「私心」を捨てて生きなければいけないのか、と邪推してしまう。
ストーリーはただひたすら、芸術家の妻の一生に焦点を合わせているだけ。社会主義体制の時代背景や、夫の不義理など登場人物の感情描写を極力薄め、物語はモノトーンなリズムで進んでいく。だが、かえってこの文体が、この時期生きる人たちの、絶え間なく続く苦渋と、つかの間に訪れる幸福感を最大限に醸し出しているのだ。
シティ・オブ・ボーンズ
【早川書房】
マイクル・コナリー
定価 1,995円(税込)
2002/12
ISBN-4152084626
評価:AA
意外な結末に、「なんじゃこりゃ」と本格派好みのミステリファンだったら本を投げ出してしまうかもしれない。「フーダニット」の形式にのりつつも、あくまでも事件の捜査過程に生じる「物語」に力点を入れ、世界で唯一の超大国がはらむ社会の「病理」をえぐり出している。
市街地で見つかった少年の骨。鑑定の結果、ドメスティックバイオレンスによる殴打の痕跡が分かり、現代アメリカの家庭事情の深刻さをうかがわせる。刑事ボッシュと新人女性警察官の情事は、反面教師的に警察組織の硬直さを照射する。そして、個人的な視線で冷徹に事件に挑む主人公の姿勢は、ベトナムの戦禍で味わったトラウマによるものをさらけ出す。
少年殺しの犯人を追う捜査陣は、容疑者が浮かんでは消える蛇行を繰り返し、物語は常に緊張に包まれ、最後の1ページまで飽きさせない。暗くなりがちなストーリーを、相棒エドガーのひょうひょうとした描写により救っている。
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