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小田嶋 永の<<書評>>
愛さずにはいられない
【集英社 】
藤田宜永
定価 2,100円(税込)
2003/5
ISBN-4087746453
評価:B
「自伝的小説」と著者が最初から(あとがきで)明かしている。小説という物語であれば、自伝だろうがフィクションであろうがかまわない。実際の出来事と思わせておいて、実は虚構に引き込まれているということも、小説のうまみだと思う。主人公・ 藤岡の、16歳の時の初体験から始まり、空虚な心を埋めるために女性・セックスに依存し、由美子という女性と一時とはいえ「愛し愛される関係」をもった高校生時代を描く。破格の高校生だ。「愛さずにはいられない」という態度は、誰が誰に対して抱くものだったかが、女性遍歴が語られるなかで、明らかにされていく。それは、個人的なコンプレックスなのか、それとも“少年”たちが共有する渇望なのか。思わず、後悔することの多い自分の高校生時代に思いを馳せてしまった(今となっては、何もかもが懐かしいのだが)。作者が「自伝的」に表現したかったのは、むしろ1960年代の最後の、時代の雰囲気ではなかったのか。
ボロボロになった人へ
【幻冬舎】
リリー・フランキー
定価 1,470円(税込)
2003/4
ISBN-4344003314
評価:B
かつて『美女と野球』というタイトルだけで買ってしまった(あまり野球については書かれていない記憶がある)。リリー・フランキー、どんな人かわからない。イラストレーターらしいが、映画や日常の出来事にも注がれる愛と独特の感性をもつコラムニストというイメージ。表題作は、フィーゴという、(レアル・マドリーの10番ではなくて)地雷で片足を失った男の、3ページと4行の「小説」だ。「人々がため息をつくほど素晴らしい奇跡を起こせないものか」「この町のすべての人々のために、最後に、何か、とてつもなく良いことを残して逝きたい」と考えるフィーゴ。しかし、何も思いつかない。痛めた(義足でないほうの)足の爪が「ただ、ずきずき痛い。」うーん、この男の爪の痛さは、読んでいるぼくたちの爪の痛さを共鳴させる。その他の作品もテーマを前面に押し出すことなく、優しい愛を物語っている。
非国民
【幻冬舎】
森巣博
定価 1,890円(税込)
2003/4
ISBN-4344003306
評価:B
同じ、所轄署生活安全課の刑事でも、『新宿鮫』こと鮫島と、本書に登場する悪徳警官(デコスケ)とのなんたる違いか。強烈なキャラクター悪徳警官の芳賀と山折。出世の見込みもなく、チンピラ相手に権力をかざし、聞き込みと称したパチンコ屋・遊技場巡回で利益をむさぼる副業に精を出す。したたかに飲み食いしながら、3150円(消費税込み)の領収書をもらうところがせこい。しかし、さらに巨悪の「非国民」がいるわけだ。パチンコや半合法賭博と警察の利権がらみの話には、僕ら小市民は驚かざるを得ない。新聞沙汰になる不祥事などは、警察権力の腐敗のほんのさわりのようだ。税金を誰のため、なんのために納めているのか、まじめに思わざるをえなくなる。「ハヤク取リ締マリナサイ、ハヤク。」落ちるところまで落ちていく芳賀と山折をたたく「正義」は存在するのか。この作者ならではの緊張感のある「賭博小説」だ。
ぼくらはみんな閉じている
【新潮社】
小川勝己
定価 1,575円(税込)
2003/5
ISBN-4106026562
評価:B
9つの短編から紡ぎだされるのは、歪んだ愛情から生み出される狂気か。表題作の「ぼくらはみんな閉じている」は、こんな話だ。謎の中年男に監禁され暴行を受け続ける直樹。男は直樹が交際していた愛美の知り合いで、愛美が自殺したことへの復讐を遂げようとする。しかし、男のいう愛美と直樹の恋人愛美が同一人物とは思えない。何かの間違いではないかと思いつつ、極限状態でたどり着いた答は思わず笑わずにはいられないものだった。狂気に加え、「ぼくらはみんな閉じている」という題名そのまま、対人関係の心理といったテーマも描かれる。「ほんとうのぼくなんて、この世にはいないのだ。ぼくがぼくと思っているぼくと、愛美が思っているぼくは、まったくの他人だ。」ミステリあるいはホラーとして設定の妙よりも、淡々とした客観的な描写にストーリーテラーとしての作者の力を感じさせる短編集だ。
HOOT
【理論社】
カール・ハイアセン
定価 1,449円(税込)
2003/4
ISBN-4652077270
評価:B
「その日、ロイが不思議な少年に気づいたのは、いってみればダナ・マザーソンのおかげだった。」この最初の1行で、もうこの「不思議な少年」が読者は気になりだす。スクールバスを追い越し、走り去ってしまうのを、ロイと共に追いかけたくなる。そして、もう一つの事件、パンケーキハウスの建設予定地で起こる珍妙なできごとをめぐるユーモラスなミステリ。学校、いじめっ子または乱暴者、親にも言えない秘密、そして大人たちへのささやか反乱。ユニークなキャラクターたち(最高なのは、自転車のタイヤをかじってパンクさせてしまう女の子!)、やさしい言葉と軽快な文章(訳のうまさか)で、読ませる。「姪や甥に安心して手渡せる本」という作者の意図をくんで、本訳もほとんどの漢字にルビがつけられる。ぼくたちは、たまにはこういう優しい本で物語を読む楽しさを恢復したいものである。