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藤本 有紀の<<書評>>
モダンガール論
【文春文庫】
斉藤美奈子
定価 690円(税込)
2003/12
ISBN-4167656876
評価:B
L文学なる言葉の生みの親、斉藤美奈子の新論理。明治・大正・昭和の女の「出世欲」の歴史を論じた本書だ。「女工哀史」「平塚らいてう」「OL」「アグネス論争」といった聞き覚えのある用語も解説してくれている。
3〜4年前から「マダム」という語をよく聞く。憧れのマダム。この間、売れない本は出さない(?)幻冬舎は「マダム小林の優雅な生活」「マダムだもの」というタイトルの本を出版している。著者は三谷幸喜夫人で女優の小林聡美。彼女は本物のマダムである。 さてギャルたちよ、これからマダムになるのは極めて難しいらしい。どうするよ? というのが本書が突きつけてくる問題である。 女も、そしてこれまでゲタを履かされていたからよかった男も労働市場ではだぶつき、デフレで賃金は下がりっぱなしだし。これじゃ一億皆プロレタリアート!?
ところでギャルという言葉に関して、斎藤の発見した記号はこうだ。90年代女子高生=コギャルことば「てゆうかあー」「ちょー」「みたいな」。80年代女子大生だとこうなる。ブリッコことば=「うっそー」「ほんとー?」「やっだー」。このへんの研究は見事だ。「てゆうか」はいうけど、「やっだー」はいわないな、などと思わせたところで作者の勝ちだ。
銀杏坂
【光文社文庫】
松尾由美
定価 600円(税込)
2004/1
ISBN-4334736157
評価:B-
ミステリーファンの皆さん、はじめまして。私が中学時代の一時期赤川次郎にはまり、それ以来ほとんど日本人作家のミステリーを読まなくなってしまった藤本です。読書熱というのもけっこう冷めやすいもので、あまり集中してひとりの作家の作品を読んでしまうと(新刊を次々出す作家ほど集中の度合いも激しいものだし)やっぱり飽きる。でしょう?
そのとき以来純文専門で15年ぐらいたちましたが、久々のミステリー「銀杏坂」で感じが掴めたように思います。ミステリーの醍醐味は登場人物のキャラにある、と。トリックやなぞ解きはさておき、キャラの立った人物が不可欠であると思うのです。本書では、主人公の“はぐれ刑事”藤田まこと風ベテラン刑事木崎を差し置き、相棒役吉村刑事のキャラがいい。
各編タイトルが美しく、装丁もきれいです。文庫とはいえ美しい本は読書のたのしみを増します。
幸福な遊戯
【角川文庫】
角田光代
定価 500円(税込)
2003/11
ISBN-4043726015
評価:C
本書の3つの短編の主人公は偽る女である。かつ不幸。
母の死後、狂ったように散財する家族。テレクラで小遣いを稼ぎながらひとり狂騒状態を続けようとする女が主人公の「無愁天使」が、私はベストだと思う。家中がものだらけになればなるほど母を死なせてしまったこと強く意識させられるという構成だから、もののディテールは重要だと思うのだが、著者はこれを軽視していると感じた。高校生の「私」と妹が輸入システムキッチンを買いに品川のショールームに行ったり、食器をサザビーで揃えようなどと話していることは異常なことだ。それならば、食器もキッチンも手の届きそうもないものであってこそ異常さが際立つというもの。品川にどんなショールームがあるか知らないが、品川と聞けば「京浜工業地帯じゃん、おしゃれじゃないじゃん」と思うし、ヘレンドならともかくサザビーの食器を揃えることはできないことではない。つまらない小間物の描写は生き生きしているのに、物欲を刺激するようなものを描けていないアンバランスがこの小説のクオリティを下げているとさえ感じた。
ところで、表紙の写真はどこなのだろう。私は六本木通り渋谷〜西麻布、または甲州街道初台〜永福のあたりだと思うが。
死者と踊るリプリー
【河出文庫】
パトリシア・ハイスミス
定価 1,029円(税込)
2003/12
ISBN-4309462375
評価:B
“リプリー”シリーズの5作目。フランスに邸を構えるトム・リプリーの近所にアメリカ人の敵役プリッチャードが引っ越してくる。うまく隠したはずの昔犯した殺人をどういうわけか嗅ぎ回るプリッチャード。相手はかなり核心に迫ってきている。尻尾をつかませるわけにはいかない! ロンドン・フランス・モロッコを駆けるリプリー、というあらすじ。シリーズ2作目の「贋作」に内容的には続くものであるらしいので、これから読む人はシリーズ1、3、4作は割愛しても「贋作」を先に読むことをお勧めします。死者が多数出てくるので前段を整理してからのほうがより本作品のスリルを味わえるでしょう。
それにしても、昔気質のメイドまで抱え「グレート・ギャツビー」風に優雅に暮らしているけど、リプリーはかなりの悪党です。
モロッコといえば、女同士やファミリーステイには絶対向かないアマン系のホテルができたとかで、我が国からは遠いけれども日本人(特にハネムーナーに)にアピールしてきている土地。モロッコのシーンがもうちょっと多めだといいのに。
アンジェラの灰
(上・下)
【新潮文庫】
フランク・マコート
(各)定価 660円(税込)
2003/12
ISBN-4102025111
ISBN-410202512X
評価:A-
アイルランドといえば近頃注目のアイリッシュ・ダンス、IRA、Mc系の人、O'系の人、読んではいないけど「ダブリン市民」。あんまり日本人におなじみの国とはいえないのじゃないかと思う国アイルランド。でも、アメリカにはアイルランド系移民が相当いるらしい。本書はアイルランド系移民フランク・Mcコートの回想です。
困難に満ちただれかの過去の物語に期待する役目、それは「心弱きときの糧」なのです。ノンフィクション専門文庫のキャッチコピーそのままですが。寒さ、飢え、不衛生、父失業のち蒸発、病気、死、意地悪な大人……。フランクの少年期は困難だらけですが、この小説はそういうものじゃないという気がします。山崎豊子の「二つの祖国」とか米原万里「オリガ・モリソヴナの反語法」なんかのほうが(小説ですけど)、私が期待する役割にはぴったりきます。アゴタ・クリストフも先に読んどけばよかった……、と本稿を書くにあたって思っています。
訳文が読みやすく、さすがは新潮クレスト・ブックという感じです。アメリカ人がいう"God damn"が「ガッデム」なところが名訳。「売女め!」みたいな訳を連発されるとけっこう疲れますから。