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藤井 貴志の<<書評>>
天国はまだ遠く
【新潮社】
瀬尾まいこ
定価 1,365円(税込)
2004/6
ISBN-4104686018
評価:
B
この作品を読むと一人旅に出かけたくなります! この主人公のように“自殺の死に場所探し”というのは極端だけど、適度な現実逃避はうまく生きていくうえでの欠かせないノウハウだと思う。場所の移動は脳に強い刺激を与えるらしいので、旅でリフレッシュするというのは理にかなってもいる。
本書では、自殺志願者である女性と、彼女が偶然にたどり着いた民宿の若主人を中心に話が展開する。女性のほうは自殺を決意しているもののどこか抜けていて死にきれない……。一方で決して繁盛しているとは言えない民宿を1人で切り盛りしているこの若者、無口で乱暴に見えるけど実は気遣い上手……、ドラマにもよくある“ホントはいい人”キャラってやつだ。こうしたキャラクターの設定は新鮮味に欠けるが、主人公とのコミカルなやりとりが笑いを誘い、結果として主人公を救うことになる。のどかな風景と豊かな自然の恵みが随所に感じられるのも嬉しい。
読後、以前にイスタンブールで出会ったトルコ人のおじさんに久しぶりにメールを出したくなった。そんな “かつての旅先の縁”を大事にしたいと思い出させてもくれる。
ぼくは悪党になりたい
【角川書店】
笹生陽子
定価 1,365円(税込)
2004/6
ISBN-4048735357
評価:
C
奔放な未婚の母に育てられたエイジは、弟ヒロトの面倒もちゃんとみるし、家事全般もしっかりこなす。しっかり者だけど気が小さい、そんなどこにでもいそうな少年エイジが、思春期真っ只中に繰り広げる小さな活躍の数々。これといった特徴のない主人公ゆえに、ついついその頃の自分と重ね合わせてしまう。
たとえば、イケメンの友人が突如として美少女ゲームにハマり、彼の彼女からは彼とゲーム中の女の子とを引き裂くよう依頼される場面がある。大人からみれば「くだらないなぁ」と笑って過ごしてしまうことだが、あの頃はそんな事でもとっても大事なことだったんだよなぁと自分と重ねながら振り返る。渦中のエイジはそんな自分をどこか醒めた目で見ながらも、周囲の期待には精一杯応えようとする好いヤツである。
友人の彼女に男としての手ほどきを受けてしまうのはご愛嬌として、羽目をはずしたいと思っているんだけど大胆にはなれないエイジの小心ぶりが全編を通じて滲み出ていることも、物語の軽快で適度に明るい雰囲気作りを手伝っていると思う。
小森課長の優雅な日々
【双葉社】
室積光
定価 1,470円(税込)
2004/7
ISBN-4575234974
評価:
A
妻や姑からは昼行灯と馬鹿にされ、職場でもうだつが上がらない、けれども実は泣く子も黙る殺し屋集団の頭目……。表の顔と裏の顔の見事なギャップに惹き付けられ、『必殺仕事人』の中村主水は少年時代の僕のヒーローだった。
本書は毎日がパっとしないサラリーマンの小森課長が、はじめはひょんなことから人殺しに手を染め、やがては「必殺仕事人」のような殺し屋集団のカリスマとして崇められていく様を描いている。小森が手にかけるのは、いわゆる極悪人ではなく一見小悪党ばかりだ。彼のターゲットになるのは、人を傷つける“小さな悪意”を撒き散らす人物。小さな悪意も積み重なれば人を2〜3人殺すくらいの悪行であると彼は考え、そんな人物をこの世から消せば多くの人が救われると強く信じる。はなはだ極端な考えだが、なんとなく共感できる気もする。きっと誰でもそういう人に心当たりはあるのではないだろうか?(さすがに殺意までは感じなくてもね……)。一方で逆に考えると、些細な出来事の積み重ねだけに、自分でも気がつかないうちに誰かにストレスを与えているかもしれない……、なんて考えると少し怖くなった。
彼が中村主水と違うのは、裏稼業をはじめた途端に自分に自信を取り戻し、仕事も家庭もうまくいくようになったこと。自分の正義を貫き“世直し”を行い、家族からも尊敬されるようになった、そんな小森課長による痛快な活躍劇である。
ICO 霧の城"
【講談社】
宮部みゆき
定価 1,890円(税込)
2004/6
ISBN-4062124416
評価:
C
すみません。PS2は持っていますがサッカーゲームしかやりません。なので「ICO」というゲームがあることも知りませんでした。そればかりか「みんなは知っているの?」「そんなに有名なの?」などという余計な心配までしてしまうくらい知らないのです。実際はとても有名なゲームだそうですね。
さて、「ゲームを知らない」前提で読んでも、アイテムの登場のしかたや主人公の動きが非常にRPG的であることはすぐに感じた。内容については、主人公が囚われの少女を救う話だが、いかにもゲーム的な伝説めいた設定が多くてイマイチのめり込めない。初めて見るゲームを他人がプレイしているのを見ている感じかな……。たびたび登場する黒い影の怪物なども、ゲームで実際に見ていればまた違った印象だったはずだ。
また、これもRPGという特性ゆえだろうが、物語全体が、伏線を張り巡らせて謎解きを進めるというよりも、どちらかというと次から次に起こるイベントを解決しながらゴールを目指すという向きが強い(もちろん著者による小説的な伏線は加えられているが……)。退屈しないで一気に読むことはできたが、最後までゲーム経験者との温度差を拭えなかった気がする。
ダ・ヴィンチ・コード
【角川書店】
ダン・ブラウン
定価 1,890円(税込)
2004/5
ISBN-4047914746
ISBN-4047914754
評価:
A
ハリウッドの映画のようなスピード感ある展開は、ページをめくる手を決して止めさせない。またダ・ヴィンチをはじめ、西洋の宗教や美術の歴史にまつわる「うんちく」もふんだんに登場し、知的好奇心を多いに刺激される。
本書は殺人事件から見えてくる背後の大きな力に挑む謎解きと、聖杯伝説を中心にした歴史上のミステリーの解読という2本柱で展開されるが、謎が幾重にも積み重ねられ、1つの問題が解決したと思っても目の前には次の難題が控えている。
ボリュームはあるが各章に「あれ?」「!」と続きが読みたくなる台詞や出来事を配し、読み手を飽きさせないようしっかり考えられている(さすがに最後のほうでは慣れてしまい、「またか」と思うこともあったけど……)。
やがて聖杯の言い伝えに本書なりの結末が見えた矢先に訪れるラストシーンは、見る人によっては「救済」を感じさせるシーンかもしれないが、僕にはやや尻すぼみで安直な着地点に思えた。そうはいっても全体のレベルは非常に高く、手に汗握る超一流のエンターテインメント作品であることは断言できる。