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奇跡の自転車
ロン・マクラーティ(著)
【新潮社】
定価2730円(税込)
2006年8月
ISBN-4105053515
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
神田 宏
評価:★★★★★
中年のデブが走る。126キロの尻を少年時代の自転車のサドルに乗せて。ビールと怠惰な生活に別れを告げて、故郷のロード・アイランドを後に、一路、ロサンゼルスへ。亡き姉の亡骸に会いに。中年のフィギュア製作会社員のスミシーは、突然の事故で両親を亡くし、葬儀の後、父親の荷物から姉の死亡届けを見つける。姉のベサニーは精神を病み、新婚旅行先から失踪していた。スミシーが出会う人々はそれぞれに重い過去を背負ってそれでも普通に生きている。そんな人々と出会う事で、体重ばかりか心も軽やかにペダルをこぎ続き得るスミシーが、ラストで得たものは? ガルシア=マルケスの『百年の孤独』のワンシーンの様なラストには高ーく昇華されてゆく愛を感じて、読後しばらく放心してしまった。中年への愛に満ちたロードノヴェルだ。
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福井 雅子
評価:★★
体重126キロ、43歳のさえない独身男スミシー・アイドは、両親の事故死をきっかけに、長い間行方不明だった姉の死を知り、姉の遺体を引き取りに自転車でロサンゼルスを目指して大陸横断の旅に出る。やさしかったが心を病み奇行を繰り返した姉、その姉の行動に苦しみながらも幸せだった家族との日々を回想しながら毎日ひたすら自転車をこぎ、出会いと別れを繰り返しながらロサンゼルスを目指して旅をする様子が淡々と綴られてゆく。
これは一人の男が自分の過去と向き合い、再生してゆく物語である。体重がどんどん減少し、幼なじみとの間に愛が芽生え、まるで心身にたまった澱が取り除かれていくように男は再び前に向かって人生を歩み始める。自転車をこぐという単純作業が、自分の過去と静かに向き合い、受け入れてゆく時間を作り出す、という設定がとてもうまく使われていると思う。ただ、ストーリーが長く、過去の回想と現在進行形の旅が交互に淡々と語られてゆくので、やや飽きる。
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小室 まどか
評価:★★★★★
旅はいい。旅の途中での経験と出会いが確実に人を成長させる。大切なことを思い出し、自分の現在いる位置、帰るべき場所が確認できる。そう思わせてくれる、一遍のロードムービーのような物語。
スミシーは、いつからか、なんでも「わからない」という言葉で片付けて一切の努力をしなくなり、好きだった自転車で走ることもやめてしまっていた。気づけば、頭にすむ声のせいで失踪してしまった姉が心配していたとおりの、デブッチョのウスノロに……。両親を相次いで事故で亡くした彼は、さらに姉の死亡通知を発見。懐かしい自転車で、姉の幻に導かれ、忘れかけていた記憶を取り戻しつつ、亡骸のあるLAへの大陸横断の旅に出る。
ダメダメ中年男の再生物語に、なぜこんなに心が洗われるのか。それは、われわれが、彼のような人間、ひいては自分たちにとって、何かをあきらめるたびに、それを取り戻すのが難しくなっていることに気づいているからだ。それはまさに奇跡――スミシーと一緒に、眼前に浮かんでくる情景や思い出をたどることで、深く傷つくと同時に、自ら立ち直り癒されよう。
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磯部 智子
評価:★★
43歳、126キロの独身男性スミシーが少年時代の自転車に乗って姉の亡骸を引き取る為にアメリカ大陸を横断する。「ぼく」の独白で語られるのは両親を事故でいっぺんに亡くしたこと、心を病み20年以上音信不通だった姉べサニーの死亡通知を発見したこと。一人ぼっちになってしまった彼に伴走するのは交互に挿入される幸福だったころの家族の記憶。
ただひたすら走り続けるロード・ノベルは、帯にあるように「男の魂と肉体の再生を謳う感涙の物語」らしいのだが、どうも私にはしっくりとこない。旅の途中様々な出会いがあり、回想も子供時代から微細にわたるのだが、視点が「ぼく」だけの為、一人語りに過ぎず批判性に欠けている。1番大きな変化は体重の激減(当然)であり、「青い鳥見つけた」式の最後
にも安直さがある。「ぼく」の心と体のダイエット成功が、あなたにとっては良かったね、としか言えず、物語が個人史から普遍的なものに変化する要因は何かと考えてしまった。
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林 あゆ美
評価:★★★
本という形をとるまでに、もうひとつのストーリーをもってお目見えする物語がある。『奇跡の自転車』が世に出るきっかけとなったのも、またひとつの物語。スティーブン・キングが交通事故にあいベッドから起きあがれない生活を送っていた時にオーディオ・ブックのファンになり、その時はまだ本の形としてでていなかった本書をコラムで絶賛したことにより、刊行されるにいたったという。
日々、酩酊するまでお酒を飲み、煙草をすい、ジャンクフードをご飯がわりにしていたスミシー・アイドはもう43歳になっていた。仕事と家の往復だけの単調な日々に変化がおきる。両親が交通事故で不慮の死をとげてしまい、行方のわからなかった姉の死も、ほぼ同時期に通知を受け取る。ぼんやりとガレージに入ったスミシーは、ラレーと名前をつけた自転車を見つけ、その自転車で姉を迎えに行くことを思いつく。
姉との時間をゆっくり回想していきながら、進行していく話は素直に心に入る。とけこむように静かに単調だった日々に違う空気が入り、スミシー自身の心がほぐれていく。静かな余韻がもたらすものは、幸福感。
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