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WEB本の雑誌今月の新刊採点【文庫本班】2007年2月の課題図書 文庫本班

贈る物語 Terror
贈る物語 Terror
宮部みゆき (編)
【光文社文庫】
税込720円
2006年12月
ISBN-9784334741631

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  鈴木 直枝
 
評価:★★☆☆☆
 副題は「みんな怖い話が大好き」とある。宮部さんの説を覆すわけではないが私は嫌いである。だって必ずその日の夢にでてくる。うん。確かに怖かった。でもちょっと違う。面白可笑しいという感じだろうか。
「ちょっと!この先どうなるのさ?」先が気になる気になる。短編で数ページ、長いと言っても100ページほどだから同じ恐怖の持続性がないこともありがたい。折々の宮部さんの文章が楽しめた。単に作品解説に留まらず、類似書籍の案内もある。ほとんどの作品の翻訳者が異なっているので、お気に入りの訳を見つける楽しみもあり、翻訳の入門書としてもお薦めだ。私のイチ押しは「人狼」。どうです?怖いでしょ。何が怖いって人の心ほど怖いものはないです。大丈夫、その日、私は夢の中でディズニーランドでミッキーと握手していました。

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  藤田 佐緒里
 
評価:★★★☆☆
既存の怖ーい話をまとめた作品集。怖い、本当に怖い。超ド怖がりのため、一作目『猿の手』で既に「キャー!イヤー!!」とばかりに本を投げ出しました。ごめんなさい。だって怖かったんだもん。その投げ出した本を後ろめたく横目でチラチラ見ながら数日を過ごしたもののやっぱり読みたくて、わざわざ友達を呼び出して一緒に読んだ私。ちょっとカワイイ私。ホントは非常に迷惑な私。わかってます。
 それにしても描写のおそろしさと言ったら!田舎の遊園地なんかに行くと、ヘッドホンをつけて椅子に座らされて、音と振動だけのバーチャル死刑が体験できますみたいなアトラクションがあるけど、ああいう怖さです。ノックする音が聞こえる、冷たい隙間風が頬を掠める、足音が近づいてくる、私のすぐ横でぴたりと止まる……。あー!怖っ!!!
 小学校のとき、一人でトイレに行けなくなるくせに貪るように怖い話を読みまくっていたのを思い出しました。思い出したというより、気付くとまさに貪るように読んでいました。童心に返るとはこのことです。宮部みゆき、あぁありがたい。

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  藤田 万弓
 
評価:★★★☆☆
 宮部さんのルーツが詰まった一冊。収録された作品との出会いや解説のついた「宮部流、怖い話入門書」と言えます。
恥ずかしい話ですが、私はここに取り上げられている作品はほとんど知らなかった。
もともと怖い話はあまり好きではないこともあって、避けていました。その理由は、‘信じられない出来事が起きても怖くない’と思ったからです。
でも、信じられないこと、というのはあまり大それた話でもなく、普段考えている「こんなことあったらいいな」の類とそう変わらない気がしました。
このアンソロジーの中で「猿の手」に惹かれたのも、「三つの願いが叶うならどうする?」といういつも思い描いていることの顛末を見せられたからでした。
でも、お金じゃなくて夢とか愛だったらどんな結末になったのだろう……?なんて自分なりにストーリーを作り出す楽しみも見出しました。
友達との会話のネタに、十五編の短篇から一作選ぶ、という使い方も面白いと思います。

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  三浦 英崇
 
評価:★★★★☆
 司馬遼太郎の『竜馬がゆく』の中で、勝海舟が、坂本竜馬による西郷隆盛評を聞いた時に、述べた言葉がありまして。曰く「評するも人。評されるも人」と。その言葉を借りるなら、このアンソロジーは「選ぶも人。選ばれるも人」と言った感じでしょうか。

 今月の書評作品にも入っている宮部みゆきさんが選んだ、「恐怖」をテーマにした作品集。古典的名作をあえて採り上げた、というラインナップは、かつて子供の頃に読んで、あまりの怖さに眠れなくなった『猿の手』(W.W.ジェイコブズ)や、大学時代に偏愛した『変種第二号』(フィリップ.K.ディック)など、この肌寒く夜の長い時期に読むには、ある意味「最適」な作品がてんこ盛り。

 ゲーマーとしては、これらの名作と並び、合間の宮部さんのコラムで、ゲーム攻略本における人物像の描きこみについて語られているくだりも、今まで評価されることの少なかった点なだけに、見逃してほしくない文章です。

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  横山 直子
 
評価:★★★★★
 コワイ話が「死ぬほど好きで好きで大好きでたまらない」宮部みゆきさんがセレクトした海外ホラー小説の古典、有名作品が実に15編も紹介されています。
私が一番しみじみ恐ろしいと思ったのは宮部さんが不思議な作家ですと紹介するW・デ・ラ・メアの「なぞ」。一読するとまるでおとぎ話を読んでいるような、美しさすら感じるのだが、よくよく考えると実に恐ろしい。
ある大きなお屋敷に住むおばあさんの家にやってきた七人の子供達が一人消え、二人消え…。この短編は何度でも繰りかえし読みたくなり、ある種の心地よさを感じながらも「なぞ」は深まるばかり。
紹介されている物語は「これ知ってる!」と懐かしさを感じるものもあれば、初めて出合う喜びを噛みしめるものも。しかしながらどれをとってもコワイ内容なので、私としてはちょっと寝る前にはオススメできません。
あとテレビゲームの攻略本やストーリーブックの中に存在する美しい文章の話は目からウロコでした。

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WEB本の雑誌今月の新刊採点【文庫本班】2007年2月の課題図書 文庫本班

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