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この本では、70歳を過ぎた今も、プラモデル制作に日々精進する「世界のタミヤ」の社長が、「やっぱプラモって楽しいわー。プラモは天職」と語りまくっています。あ、こんなに砕けた物言いじゃないですよ、念のため。
俺自身は、子供の頃は家が貧乏だったので、プラモもラジコンも買ってもらえず、タミヤのツインスターは手の届かない憧れでしたが、可処分所得がそれなりにある今なら……家族に怒られるので手が出せません。しょんぼり。
好きなものについて、好きなだけ語るその言葉に、心打たれないようなクリエイターは、エンターテインメントに関わる資格は無いです。ものつくりに携わるすべての人の必読書。
本著はプラモデルの世界最大メーカーと言われる田宮模型の社長が書いた一代記である。 富士山に抱かれた静岡でプラモデルを作り始めた昭和30年代から、フィリピンに生産工場を構え、世界90か国へ輸出するようになった現在にいたるまでの軌道。 田宮俊作さんのモノをつくる楽しさが各ページから満ち溢れている。 その中に、とても心に残るエピソードがあった。 「人はだませても自分はだませない。自分が愛せないキットを発売してしまったら、自分自身を許せなかったに違いない」。 数字にすれば一ミリにもみたない誤差ながら、「何となく厭だ」という気持ちを尊重し、キットの販売を遅らせた。 その結果、数千万円の費用と一年の時間がかかったそうだ。 ここまでのこだわりに、頭が下がった。しみじみ感動した。 F1ドライバーのセナ氏や日産のカルロス・ゴーン氏とのプラモデルを通じての触れ合いも読んでいて心温まるものがあった。 プラモデルを前にすると、誰もが少年の心に戻れる瞬間があるようだ。
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