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4月12日(金)

  • 小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る (文春文庫)
  • 『小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る (文春文庫)』
    一歩, 中原
    文藝春秋
    770円(税込)
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  • 戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」 (集英社文庫)
  • 『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」 (集英社文庫)』
    斉藤 光政
    集英社
    880円(税込)
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 肉離れ発症から6日。自己診断によると92%回復。ある角度に足が入ったときだけ痛む。

 山下書店大塚店さんに直納。相変わらずしびれるほど良い本屋さん。

 池袋でジュンク堂の田口さんと文学について長話。幸福な時間。

『小林カツ代伝』中原一歩(文春文庫)、『バスは北を進む』せきしろ(幻冬舎文庫)、『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」』斉藤光政(集英社文庫)を購入。

4月11日(木)

  • 牛たちの知られざる生活
  • 『牛たちの知られざる生活』
    ロザムンド・ヤング,石崎 比呂美
    アダチプレス
    1,760円(税込)
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  • 羊飼いの暮らし──イギリス湖水地方の四季 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
  • 『羊飼いの暮らし──イギリス湖水地方の四季 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)』
    ジェイムズ リーバンクス,濱野 大道
    早川書房
    1,012円(税込)
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  • 馬語手帖―ウマと話そう
  • 『馬語手帖―ウマと話そう』
    河田 桟
    カディブックス
    2,460円(税込)
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  • はしっこに、馬といる ウマと話そうⅡ
  • 『はしっこに、馬といる ウマと話そうⅡ』
    河田 桟
    カディブックス
    3,370円(税込)
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 肉離れ発症から5日。自己診断によると90%回復。階段の下りがまだ怖い。

 終日、デスクワークというリハビリ。

 やっと心が落ち着き、本を読む。

『牛たちの知られざる生活』ロザムンド・ヤング(アダチブレス)読了。自然のなかで育てた牛という生きものは、こんなに幸福で感情豊かな生き物だったのか。そして牛と暮らすこともこんなに幸せで豊かなことだったのか。読んでるだけでアニマルセラピーにかかった気分だ。

『羊飼いの暮らし』ジェイムズ・リーバンクス(ハヤカワ文庫)、『馬語手帖』『はしっこに、馬といる』(ともに河田桟、カディブックス)と一緒に読むべき一冊。

4月10日(水)

 肉離れ発症から4日。自己診断によると70%回復。ちょっとした坂(上り)がつらい。出社。

 実を言うと本屋大賞翌日、翌々日というのが二番目に忙しく、届いた荷物の片付けやら各所への献本やら様々なところからの問い合わせなどバタバタと過ごす。しかも本日は「本の雑誌」5月号の搬入日となっているため、そちらのツメツメ作業も助っ人総出で行う。

 夕方、リハビリを兼ねて駒込のBOOKS青いカバさんへ納品に伺う。店主の小国さんの誕生らしいのだけれど残念ながら外出中で、留守番の女性から本屋さん開業の相談を受ける。

 本屋さんの閉店ばかりがニュースになるけれど、実は今ほど本屋さんが開業している時代もなく、ただそれが既存の出版流通にのっていないからカウントされないだけなのだった。それは都心部だけでなく、いや都心部以上に郊外で小さなお店がどんどん開いており、しかもその何倍も本屋さんになりたいと考えている人がいるのだ。この萌芽をどう育てていくかに今後の出版業界、というよりは本の未来がかかっているだろう。

4月9日(火)

 発表会当日。ベッドからゆっくり足を下ろす。3日ぶりに踵を床につけることができる。ガッツポーズ。右足のみ超ガニ股にして引きずればどうにか前に進むこともできる。野人岡野雅行なみの回復力。いや、肉離れになってすぐ氷で冷やし、固め、安静に過ごしたのがよかったのだろう。一分一秒でも長く安静に過ごせばそれだけ回復する気がして、会社には行かず、午後、発表会場である明治記念館に集合することにする。

 痛風発症のときも思ったけれど、松葉杖をついているわけではないので、駅や町中で私が怪我しているとは誰も気づいていない。ゆっくり歩いていると邪魔だと言わんばかりに肩をぶつけられ、目の前からスマホを手に歩いてきた青年もこっちが避けるだろうと直進してくる。しかしこちらはサイドステップが踏めないため避けることもできないのだ。単なる日常がこれほど恐ろしい世界だったとは。冷や汗をかきながら信濃町に到着。

 そして明治記念館にほうほうの体でたどり着くと、そこには長年辛苦を共にしてきた実行委員の仲間たちが迎えてくれる。私なぞ居なくても発表会は進むのだろうが、こうしてみんなが私を来たことを喜び、そこに座っていなさいと椅子を出されると、なんだか胸がいっぱいになる。

 発表会はここ数年の中ではもっとも問題なく順調に進み、滞りなく終了となす。その滞りなく進めるために一年間、いや16年間、みなで夜な夜な集まり、たくさんたくさん議論して、試行錯誤してきたのだ。

 今日ほどビールを飲みたいと思う日はないけれど、さすがにこの足で酒を飲むこともできず、打ち上げに参加せず帰宅。

4月8日(月)

 本屋大賞発表会前日ということでやらなければならないことがたくさんあるものの肉離れした右足を床に付くことはできず、どんなに私の左足がロベルト・カルロスだったとしてもケンケンパで御茶ノ水まで行くことはできない。明日の発表会当日にどうにか会場にたどり着くべき奇跡の回復を信じ、お休みをもらう。不覚。

 ベッドの上で安静に過ごすもときおり涙がこぼれる。

4月7日(日)

 午前中、サッカー。いつもより身体が軽く、ボールタッチも吸い付くようで、ひとり交わしふたり交わし絶妙なスルーパスやクロスをあげて、これどうしたことかと思ったら、ふくらはぎに銃弾を受けたような衝撃が走り終了。肉離れ。グラウンドに横になり、歩くこともできず、ベンチにいたチームメイトに氷を買ってきてもらう。

 以前肉離れになったのは確か原口元気が浦和レッズを離れる最後の試合の当日で、午後からの試合の前に午前中サッカーをして肉離れをしてしまったのだ。

 おかげでスタジアムに行くことができず、大好きだった原口を送り出すことができなかったのだけど、今回も本屋大賞発表会前々日という最悪のタイミング。とにかく冷やして安静にするしかないわけで、どうにか車を運転し帰宅してからはベットに横になり、本を読んで過ごす。トイレに立つたびに不甲斐なさに涙があふれる。

4月6日(土)

  • 三河吉田藩・お国入り道中記 (インターナショナル新書)
  • 『三河吉田藩・お国入り道中記 (インターナショナル新書)』
    久住 祐一郎
    集英社インターナショナル
    924円(税込)
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 見沼代用水西縁、東縁とも桜満開。その下を花見ラン。陽気も最高で、ランニングの幸福を味わう。

 娘が大学に教科書を買いに行くというので、先日の入学式に体調不良で同行できなかった妻を連れてついていく。教科書を買い求めたあと、娘に校内を案内してもらう。共に大学に進学していない私と妻は、中学や高校とのあまりの規模の違いに声をあげるばかり。このような場所で4年間過ごせる娘の幸せを願うとともに、どうにかこうにかここまで育てあげた自分たちを褒め称える。

 久住祐一郎『三河吉田藩・お国入り道中記』(インターナショナル新書)読了。

 発見された古文書を読み解き、参勤交代の実情を現代的に語られているのだけれど、いやはや日本史の授業をほとんど寝て過ごした自分にもたいそうわかりやすく、構成も飽きさせない流れで面白かった。この著者、書ける人なんじゃなかろうか。そもそも執筆依頼している集英社インターナショナルの編集者の方は、元となる古文書を研究する大嶋家文書研究会のメンバーとのことで、編集者というのはやっぱりすごいものだ。

4月5日(金)

『本屋大賞2019』部数確認。4月20日(土)、21(日)に開催される「USUNOMIYA BOOKLIGHTS」に出品する本を棚から抜き出し準備に勤しむ。昼、神保町の古本屋の店頭ワゴンにて出久根達郎『無明の蝶』(講談社文庫)を100円で購入。

 夜、金Jの埼玉スタジアムへ。DAZNが配布する限定2万名のシャツはもらえたものの、勝ち点3は手に入らず。横浜Fマリノスに一方的にやられる展開になってしまったものの、浦和レッズは転換期にあるという認識なのでブーイングはせずに帰宅。

4月4日(木)

  • 「市」に立つ: 定期市の民俗誌
  • 『「市」に立つ: 定期市の民俗誌』
    志乃, 山本
    創元社
    1,980円(税込)
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 失せものを探すべく8時に出社。机の周りや荷物置き場をどんなにひっくり返しても見つからず、もしや捨ててしまったのではないかと脂汗が流れだした頃、はっとひらめくものがあり、先方に確認するとなんとすでに荷物は送ったものの中に入っていたのであった。膝から力が抜ける。

 座談会を一本収録した後、高野秀行さんと雑談のお茶会。雑談といっても作家さんとの雑談は、常に次の作品への足がかりなわけで、本日も何気なく発した一言が高野さんがずっと悩んでいた作品の問題点解決への絶妙なスルーパスになり、高野さんから「杉江さん、天才だよ!」とこれまでの人生で一度も浴びたことのない賞賛を受ける。大いに鼻を伸ばす。

 夜、疲労困憊のため、東京堂書店さんで本を買い求める。山本志乃『「市」に立つ 定期市の民俗誌』(創元社)、佐伯一麦『山海記』(講談社)。

4月3日(水)

『本屋大賞2019』の見本を持って取次店さんを廻る。

 夜、酒飲み書店員大賞のOB会のため船橋へ。2005年に始まった酒飲み書店員大賞も今年で15回目となり、現在は選考メンバーもガラリと変わっているのだけれど、15回を記念して過去のメンバーと現在のメンバーで推薦図書を選定し、大賞作品を発表しようという企画が進行しているのであった。私はOBメンバーの方で、本日はそれぞれの推薦本を提出し、まずは予選をスタートしようという集まりなのだった。

 すでに書店員でなくなった人が半数近くいて(そのほとんどがお店の閉店により)、この15年はなんだったんだろうかと淋しくなるも、こうしてみんなまた元気に会えるうちはそれはそれで幸せで、何やら同窓会のような気分に浸りながら、小松菜ハイボールという身体にいいのか悪いのかよくわからないものを痛飲す。

 一次会がお開きになったところでお店の外で名残惜しむメンバーを残し、あまりの寒さに一足早く帰宅したのだけれど、これが大正解というか、私が乗った電車の後に総武線が線路内人たち入りだとかで全線ストップとなる。すでにそのときは西船橋駅から武蔵野線に乗り換えていた私は危機一髪。

4月2日(火)

  • アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した
  • 『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』
    ジェームズ・ブラッドワース,濱野大道
    光文社
    1,944円(税込)
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  • ノマド: 漂流する高齢労働者たち
  • 『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』
    ジェシカ・ブルーダー,鈴木 素子
    春秋社
    2,640円(税込)
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 朝、早稲田の古書現世さん来社。新たな取り組みの打ち合わせ。

 午後、やたらにあわてて仕事をさせられるなと思ったら、事務の浜田が緑色のビニール傘をさして早退。ヤクルトスワローズの神宮開幕へ向かったらしい。

 ジェームズ・ブラッドワース『Amazonの倉庫で絶望視、ウーバーの車で発狂した』(光文社)を読了。非常に面白い。タイトルや帯の推薦文からその手の企業への潜入ルポものかと思って読み出したのだけど、確かに実際に働いてはいるものの、描き出しているのは過去から現在までの労働と、現代という世の中そのものだった。

 社会というのは、てっきり何百年、何千年もかけて、生きやすい世の中を作り上げてきたのかと思いきや(自分自身どうして無根拠にそう思っていたのか考えるとそれはまたそれで怖い)、実際にはそんなわけはなく、2019年にもなって生きにくく、より暮らしにくくなっている実態や原因がこの本で明かされている。

 ルポ自体はイギリスのことだけれど驚くほど日本もそっくりで、先進国の行き着く先というのはみんなこんな感じなんだとしたら、進歩というのはいったいなんなのか。それだけでなく、人間とは、会社とは、経済とは、社会とは、政治とは......とたくさんのことを考えさせられる書だった。

 今のところ2019年上半期ベスト1ノンフィクション。ジェシカ・ブルーダー『ノマド』(春秋社)とともに必読。

4月1日(月)

 本のフェス休日出勤の代休をとって、娘の大学の入学式へ。さすがに大学まで入学式について行く気はなかったのだけれど、娘から「大学に行ってないパパとママを大学に連れって行ってあげる」と言われたので列席することに。残念ながら妻は当日になって体調不良で同行できず。あんなに楽しみにしていたのに無念。

 娘の通うことになった大学は家からたった30分で着く。学校は近く、会社は遠く。これ人生の鉄則。桜が満開。人工芝のサッカーコートが美しく、在校生達は思い思いの格好をして芝生の上にサークル活動の勧誘のためのテーブルを並べている。

 これまでの人生で、大学に進学しなかったことを一度も後悔したことはなかったのだけれど、今日は大学生になった娘を素直に羨ましく感じる。ここには大きな希望と可能性が広がっている。

 オリエンテーリングのある娘と別れ、しばし大学周辺を散歩する。大きな図書館もあって、これなら娘の読書生活も安心だ。

 家に帰りすっかり回復した妻に写真を見せながら報告。学園祭は一緒に行こうと約束する。夜、お赤飯を炊いて娘の入学をお祝い。

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