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3月16日(水)

  • 砂まみれの名将 野村克也の1140日
  • 『砂まみれの名将 野村克也の1140日』
    加藤弘士
    新潮社
    1,650円(税込)
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 4時半起床。調べ物を中断し、発売を楽しみにしていた加藤弘士『砂まみれの名将』(新潮社)を読む。脱税で逮捕された妻・沙知代の責任をとって、阪神タイガースの監督を辞任した野村克也氏が、その後、楽天イーグルスの監督になるまでの間につとめた社会人野球シダックスの監督時代の様子を追ったノンフィクション。

 設備や待遇はもちろん教える選手のレベルもまったくことなり、「関東村」とも呼ばれる砂埃立つグラウンドで、プロからアマに「転落」した野村監督は、後に「あの頃が一番楽しかったな...」と振り返るほど実はそこでとても大切なものを手にしていた。

 転落するきっかけとなってしまった沙知代のその後の執念(愛)もすごく、意外な真実もたくさん記されおり、最終章は胸がいっぱいになってしまった。いやはや素晴らしい読書だった。

 今日はまた春の陽気のなか、9時半に出社。午前中デスクワークに勤しみ、午後営業に出かけると、三省堂書店さんの入り口で、元あゆみブックスのKさんとばったり。しばし本屋さんのお話など。

 その後、TXに乗って、守谷へ。こちらにあるリブロさんに、元東京堂書店の、いや私にとっては18歳で八重洲ブックセンターでアルバイトを始めた際の大先輩であるKさんが、定年退職後に「やっぱり本屋はやめられない」とアルバイトをはじめたと聞き、馳せ参じる。

 まだ勤務をはじめて3ヶ月とのことだけれど、棚も平台もしっかり耕された素晴らしい売り場になっていて、本を売る技術というものを改めて考えさせられる。それはただ置いてあればいいわけではなく、日々世の中が変化していく中で、何を、どう置くか。その意義と技術をどう伝えていくか──それこそがとどのつまり、『書店風雲録』『尾道坂道書店事件簿』『本を売る技術』と作ってきた自分の人生の使命なのかもしれない、と世話になって30年のKさんの言葉を聞きながら考える。

 夜、大きく長い地震。

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