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1月8日(日)

  • 増補・決定版 ニッポンの音楽 (扶桑社文庫)
  • 『増補・決定版 ニッポンの音楽 (扶桑社文庫)』
    佐々木 敦
    扶桑社
    1,045円(税込)
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 朝、ランニング。調子よく、15キロラン。完全復活の予感がするも、この2週間ほど左膝に痛みがあり、走る分には問題ないのだが、果たしてサッカーをしたときにどうなるのか。

 昼、武蔵野線に揺られ府中本町へ。高野秀行さん、AISAの小林渡さんと辺境新年会。待ち合わせまで時間があったので大国魂神社を覗くも初詣の長蛇の列。お詣りは諦め、ミッテン7階の喜久屋書店さんへ。

 佐々木敦『ニッポンの音楽』(扶桑社文庫)を購入。自分は耳で聴き、ハートに響くかどうかでしか音楽の良し悪しを判断していないので、これまで音楽を聴き出して40年間ウンチクみたいなものから一切距離を取ってきたのだけれど、そろそろ流れくらいは理解してみたいかもと。

 府中駅で高野さん、渡さんと待ち合わせ、ビールやつまみを買って辺境スタジオへ。乾杯とともに高野さんの今年一年の抱負などを伺い愉快に過ごす。

1月7日(土)

  • 野原(新潮クレスト・ブックス)
  • 『野原(新潮クレスト・ブックス)』
    ローベルト・ゼーターラー,浅井 晶子
    新潮社
    2,200円(税込)
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 午前中、川口の角上とヤオフジへ買い出し。先週の大混雑が一転し、今日はゆっくり買い物ができる。

 息子をバイトに送って行き、ランニング。どうもイマイチ本調子でなく、8キロちょっとでウォーキングに切り替える。

 積読の中から、今日の朝日新聞で金原ひとみさんが紹介していたローベルト・ゼーターラー『野原』(新潮クレスト・ブックス)を発掘し、読み出す。

 夜、息子をバイトに迎えに行きつつ、キーパーグローブを購入。今年はキーパーに挑戦してみようと思う。

1月6日(金)

  • 基本は、真っ直ぐ―― 石川雅規42歳の肖像
  • 『基本は、真っ直ぐ―― 石川雅規42歳の肖像』
    長谷川晶一
    ベースボール・マガジン社
    1,980円(税込)
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  • 名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点
  • 『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』
    長谷川 晶一
    KADOKAWA
    1,870円(税込)
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 朝、9時半よりオンラインでの座談会収録により家にて待機。1時間半ほどで終わったので、それから出社。昨夜会社に泊まって徹夜で入稿作業をしていた編集の前田は入稿を終えると近所のファミレスに行き、モーニングを食した後、テーブルにぶっつして爆睡していたらしい。13時から本屋大賞20周年フェアに向けて取次店トーハンさんとオンラインでの打ち合わせ。

 午後、中井の伊野尾書店さんへ。予約していた長谷川晶一『基本は、真っ直ぐ 石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)を購入し、3月に刊行されるらしい『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)の予約をする。しばし、昨今の書店・出版状況を話し込む。

1月5日(木)

  • クジラ捕りが津波に遭ったとき―生業の人類学―
  • 『クジラ捕りが津波に遭ったとき―生業の人類学―』
    森田 勝昭
    名古屋大学出版会
    3,520円(税込)
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 仕事始め。電車は若干空いている印象もあり、もしやこの木、金に有休を取り、9日まで冬休みの人がいるだろうか。

 久しぶりの神保町に着くと心が落ち着く。会社のドアを開けると、すでに浜田が出社しており、新年の挨拶。続いて、松村、小林、前田とやってきて、2023年の本の雑誌社がスタート。今年もおもしろたのしい「本の雑誌」とぐっとくる書籍を刊行していくのだ。

 と意気込んでいると新年初の電話が鳴る。すわっ!長期休業明けの大量追加注文か!と浜田が興奮気味に電話に出、固唾を呑んで直納の準備を整えていると返品了解の電話であった。

「先が思いやられますね」と浜田は落ち込むものの、いやいや新年一発目の電話が返品了解というのは出版営業おみくじとしては幸運を招く吉報のひとつであり、浅草寺のおみくじの凶ように「これ以上、悪くならない」という意味なのだと説明する。

 午前中、印刷会社や倉庫会社の人たちや近所の出版社の人たちが挨拶にやってくる。午後は私も新年の挨拶回りに出かける。

 それにしてもだ。年末年始の休暇の間、私は初詣でお賽銭を投げる以外まったくお財布を開かなかったのだが、仕事が始まり東京に出、わが住む町にはない"本屋さん"というところを覗いたら、ぱっかり財布が開いて、またたくまにお札が旅立っていくではないか。

 正直言って、休みの間の8日間、一度足りとも本を買いたいと思うことはなかった。なぜならそこに本屋がないから本を買うということが思い浮かばなかったのだ。

 ならば結局、この何十年も本が売れないのは本屋さんが減ってるからじゃないのか? 出版社として本を売りたいと思うなら売れる本を作る以前に本屋さんを増やす努力をしなければならないのではなかろうか? どうしたら本屋さんが増えるかといったら本屋さんが儲かるようにすればいいんじゃないのか? としごく簡単なことに思い至る。

 そんなことを考えつつ向かった千駄木の往来堂書店さんでさらに思いを強くするのであった。

 かつて中村橋にある中村橋書店のT店長さんが、「まったくバカにしてんだよ、出版社は。この町に宮部みゆきを読む人なんかいないって言ってるのと一緒だろ?!」と当時ベストセラーとなっていた宮部みゆきの新刊が、いくら注文しても一冊も入荷しないことの憤りを叫んでいたことがあったのだけれど、逆にいえば本屋さんに並んでいる本というのは、この町にその本を買う人がいると本屋さんが信じ、仕入れ、並べているわけだ。

 そう考えると千駄木の往来堂書店さんはやっぱり相当すごい本屋さんなのではなかろうか。たった20坪の店内に森田勝昭『クジラ捕りが津波に遭ったとき』(名古屋大学出版会)なんて本をぽそっと棚差しされているのであった。安い本ではない。3520円だ。これを往来堂書店さんは、自分のお店に来る誰かが買うのではないかと思って仕入れているわけだ。

 そんなお店に新年の挨拶がてらのこのことやってきたのは私であって、棚を徘徊していたところこの本を見つけ、目が釘付けになってしまった。こんな本出てたの? 好みのどストライクな本じゃない? とおもむろに右手を伸ばし棚から抜き取ると、レジに直行するのであった。

 往来堂書店さんが想像していたお客さんは私じゃなかったと思うけど、それでもその本を買う客が間違いなくお店にやってきたわけだ。

 おそらくこの本、私みたいな研究者でもなく、勉強している学生でもなく、単なる雑食なノンフィクション読みにとっては、おおよその全ジャンルの棚をさっと眺められる20坪くらいの本屋さんでしか出会えなかった可能性が高いだろう。まさしく往来堂書店だから出会えたし、往来堂じゃなきゃ出会えなかった本。

 やっぱり本は、本屋さんがあるからこそ売れるのだ。

1月4日(水)

 体調99.9%回復したので、晴天の中、ランニング再挑戦。本日はどこまで走っても疲労感なく、15キロ走り切る。心も身体も軽くなる。

 妻にはパスタを、自分にはチキンライスを作って昼食。その後は年末に録っておいたドキュメント72時間ベスト10を観て過ごす。2位の看護学校に密着の回で号泣す。明日からの仕事に心機一転でのぞむことに。

1月3日(火)

 体調が99%回復した気がしたのでランニングへ。本年初ラン。しかし6キロほど走ったところでいつも以上の疲労を覚え、帰路に着く。結果8キロのラン。体内でよほど消耗していたようだ。

 シャワーを浴び、本年初の昼酒でも飲んで過ごすかと考えていたところ、母親から電話。父親の病院に歯ブラシを届けたいというので、実家へ向かう。

 子育てが終わってやっとひと段落かと思いきや親の介護が始まってしまった。おそらくそれが終わる頃には自分が介護される側になっているのだろう。

 酒を飲むととことん飲んでしまいそうなので、YouTubeで配信されていたROTH BART BARONの「"HOWL" Tour ~with Strings~ Live at COTTON CLUB」を観て、就寝。

1月2日(月)

 早寝したおかげか寒気治る。ただし体調100パーセントという感じでもなく、ランニングは控える。

 住んでる町から昨年2軒の本屋さんがなくなり、いわゆる"無書店地域"になってしまった。長期の休みとなるとまったく本と出会うこともなく、また本屋さんならではの社会との風も感じることもできず、私にとって東京で働くということは、本屋さんに行くと同義語であることを思い知る。

 身体を休ませるため本を読んで過ごしていると、編集の前田からメッセージが届く。

 ゲラをプリントするため会社で作業していたところ、突然ビルの火災報知機が鳴り響き、セコムはもちろん消防自動車も出動する大騒ぎになったらしい。結果的には火と真逆の受水槽からの水漏れが原因の誤作動だったらしいが、しごく実直の前田のことだからブルブル震えて私は火をつけてませんと消防士さんにホールドアップしていたはずだ。思わずその姿を思い浮かべて笑ってしまうが、前田にとっては新年早々の災難。

 バイト始めの息子の送迎。ウイークデーに毎日聴いていたinterFMの「The Dave Fromm Show」が今週より金曜日のみの放送となってしまい、心にぽっかり穴の空いた時間を過ごす。

1月1日(日)

  • 盛り場で生きる 歓楽街の生存者たち
  • 『盛り場で生きる 歓楽街の生存者たち』
    フリート横田
    毎日新聞出版
    2,200円(税込)
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 川口の角上魚類で寿司を買い、実家へ向かう。ただし父親は未だ入院中により、母親と妻と息子の四人で新年の祝い。年末年始は一軒家でひとり過ごすのが特に寂しいらしい。

 父親が入院して3ヶ月の間に母親とのコミニケーションでひとつわかったことがあった。否定系の質問を投げかけてくることがあるのだが、それを肯定して答えても意味がないということ。

 たとえば「入院費は次に病院に行ったときに払えばいいよね?」とか「今年はお父さんがいないから松飾もしなくていいよね?」といったことだ。

 はじめはこれに対して、できないことを責められたくないから「そんなことしなくていいよ」と肯定してもらいたいのだと思って、「そうだね」と答えていたのだが、それだと永遠と同じ問いかけを繰り返すのだった。

 あるときあまりに同じことを言い募るのでさすがに頭に来て、「じゃあ、俺が今から病院に行って入院代金払ってきてやるよ」と病院に向かうと、すごくほっとしている様子だったのだ。

 要するに不安で不安で仕方ないから言っているのであって、早く解決してほしいというアピールなのだった。なので本日「毎年お父さんが買っていたダルマもなくていいよね?」と言い出したので、すぐさま神社に行って、ダルマを買い求めた。おそらく父親は、母親が不安を募らせる前にすべて解決していたのだろう。

 夕方、帰宅。妙に寒気がするのですぐさま布団に入る。30日に忘年会で行った居酒屋が煙草OKのお店ですこぶる空気が悪く、喉をやられたようだ。コロナでないことを祈りつつ、布団に包まり、フリート横田『盛り場で生きる』(毎日新聞出版)を読了。

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