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2月27日(月)

京浜東北線がだらだらしており、9時半に出社。

通勤読書は、先日早稲田の古書現世で手に入れた和田平介『キャバレー日記』(晩聲社ヤゲンブラ選書)。1981年刊行のこの本は、当時全国展開されていたピンクキャバレー「トロント」に潜り込み、白服(ボーイ)として実際に働いた労働ルポ。いわば『交通誘導員ヨレヨレ日記』等で現在大人気となっている三五館シンシャの〈日記シリーズ〉のルーツのような作品か。

現代に比べて人間関係が濃密で、給料が良いのは仕事の違いだけではなさそうだ。

午前中は共有の大きな机にゲラを広げ、5月刊行予定の本の著者校を確認。デザイナーさんにレターパックで送る。

昼食にバナナを齧りながら、3月刊行の新刊、橋本倫史『そして市場は続く』の初回注文の〆作業。

今回より日販さんはデータの送付がメールから専用サイト「BookEntry」に変更になっており、ドキドキのアップロード。どうやら部数確認もこちらでできるらしく、便利といえば便利。

私が出版社に入った30年前は、注文短冊を束ねたものを手に取次店さんの仕入窓口に見本とともに提出していたものが、いつぞや注文短冊を入力してデータ化したものをフロッピーディスクに入れて渡すようになり(そういえばあの頃仕入窓口の担当者の机にはたくさんのフロッピーディスクが積まれており、新刊受付に行く度に前回渡したフロッピーを返してもらったりしていた)、それからメール添付で送信するようになり、ついにはコロナの影響で見本出しという行為そのものが消滅し、こうして専用サイトでデータを送付し、見本は宅急便で送ることになったのだった。しかも楽天ブックスネットワークさんに至っては見本も不要で、カバーのデータを送るだけというさらに簡略化されているのだった。

楽ちんといえば楽ちんなのだが、仕入窓口の緊張感と他の出版社の営業の人たちのビジネストークを聞く背徳感と、午前中の時間通りに回り終えるだろうかという焦りと、混雑具合によって新刊の多さが一目瞭然だった実感と、順番待ちの間に営業同士でちょっとした情報交換する交流の場がなくなってしまったのは、結構寂しい。

2時に無事、モリモト印刷より見本が届き、発送の準備をして、〆作業終了。

もはや外回りに出かけるタイミングでもないので、続いて6月刊行予定の新刊の原稿を整理し、デザイナーさんに届ける。

それを終えたのち、「本の雑誌」6月号の特集を検討し、みんなに配る。

晩御飯に小諸そばのいか天そばを食し、18時半より5月号特集の座談会を収録。

22時に終えて、帰宅する。

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