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10月9日(月)黒川博行『悪逆』を読む

 5時起床。シャッターを叩く雨の音が聞こえ、慌てて天気予報のアプリを開く。終日、傘のマークがついている。出張明けで身体を動かしたかったのだけれど、本日のランニングは諦めざる得ない。

 二階に上がり、リビングの明かりをつける。出張中の新幹線やホテルで読み続けていた黒川博行の新刊『悪逆』(朝日新聞出版)を一気に読む。

 やはり前作『連鎖』から黒川博行は変わってきていると思う。

 それまでの[疫病神シリーズ]や[堀内・伊達シリーズ]などのように強烈な登場人物によるキャラクター小説を封印し、もっと普通の、真面目な人間から物語を紡ごうとしているように思える。


 今作の『悪逆』も、大阪府警察本部の舘野と箕面北署の玉川のコンビは休みも取らず大変勤勉に捜査に勤しんでいる。しかしだからこそ伝わってくる人間味がとてもいい。

 さらに今作では冷血冷酷な犯人の魅力がたまらず、ある種のダークヒーローのような読み応えもある。

 満足の一冊。次作も楽しみ。

 大学に行くという娘を駅まで送り、妻と私の実家へ。京都出張中に父親の月命日を迎えてたので、お仏壇とお墓に線香をあげ、お土産の八ツ橋をお供えする。

 さらにしばらく母親が実家に戻ってこないということが決まったので、冷蔵庫や乾物などを整理する。乾物入れから出てきたレトルトカレーを見て、胸が痛む。どうして私は父を亡くしたあと、母親と一緒にこの実家で暮らさなかったのだろうか。

 線香の香りが、胸に沁みる。

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