10月10日(火)2023年のベスト1
やばいやばいやばいのだ! 塩田武士『存在のすべてを』(朝日新聞出版)なんてとてつもない傑作が出てるのになんでみんなすましてるんだ⁈
だってこれ、横山秀夫×宮部みゆき級の極上のミステリーであり、極上の恋愛小説であり、極上の家族小説ではないか。もう10月だから安心して宣言しちゃうが、塩田武士『存在のすべてを』 は2023年のベスト1だ!
そもそも同時誘拐事件というとんでもない導入から超緊迫の警察小説が始まるわけだ。これが新聞記者に視点が変わり、時には誘拐された少年の同級生の視点になっていく。そこはもう美術界の暗部を描く社会&仕事小説にもなっている。
さらに展開が進むに連れて物語は新たな一面を見せ、読み終えたときにはもうすごく遠くを旅した気分。
写実の絵、というのが通底したテーマなんだけど、もうその絵をとても見たくなる。どこかの美術館でやってないだろうか。
読み終えた今、傑作小説を読んだときにしか味わえない浮遊感に包まれている。
繰り返しになるが、塩田武士『存在のすべてを』(朝日新聞出版)は2023年のベスト1だ!