2月28日(水)2024年はもうこの本を読めたから大満足
大滝ジュンコ『現代アートを続けていたら、いつのまにかマタギの嫁になっていた』(山と渓谷社) 読了。2024年はもうこの本を読めたから大満足だ。
飲み会の誘いからマタギの棟梁と結婚した著者が、新潟県のマタギの村「山熊田」の春夏秋冬の暮らしを綴る。
しかし田舎暮らしだからのんびり日向ぼっこなんて滅相もないのだ。シナの皮剥きに鮎かけに山焼きにと自然は待ってくれない。しかも宴会や独特なお墓参りなどとにかく忙しい。
それを描く視点がとってもいいのた。観察者であり、体験者であり、なにより生活者なのだ。長い時間をかけて、時には二日酔いになりながら聞き出した話や考えたことが、しなやかに、しかし芯を持って語られる。
マタギの本であり、民族学の本でもあり、なによりすばエッセイになっている。我がオールタイムベスト本の遠藤ケイ『熊を殺すと雨が降る』の現代版でもあり、そしてその帯(山と渓谷社版)にあった「失ってはならない私たちの生活の原点」が、まさしくこの本にある。