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4月17日(水)親しき中にも原稿あり

午前中、春日部市役所に行って、母親の特別障害者手当の申請書類を提出。長かった。診断書など用意するのに2ヶ月はかかっただろうか。

午後、急遽、高野秀行さんと吉祥寺で待ち合わせし、昨日お送りいただいた『クレイジー酒ジャーニー』の感想をお伝えする。

「親しき中にも原稿あり」。

どれだけ酒を飲んで時を過ごそうが、共に雪積もる山中を練り歩き古甲州道を歩もうが、作家と編集者は原稿を間に挟んだら真剣勝負、手に持つ刀を対峙させ、作品がより良きなるものになるよう命がけで進めなければならない。

もちろん「玉稿ありがとうございました! 面白かったです!」とただ受け取ることもできるだろう。しかしそれでは作者を、自分自身を、そしてなによりも読者を裏切ることになってしまう。この三者の中で、唯一リスクがないのがサラリーマンである私(編集者)だ。リスクがない上に、さらにリスクのない仕事をしていたのでは、はっきりいって生きる意味がない。

というわけで率直に感想をお伝えすると、高野さんは一瞬眉間に皺を寄せ名刀「間違う刃」で受け止め、すぐにその太刀筋から解法を見つけ出し、あっという間に問題点を解決する術を語りだしたのだった。

いつぞやいく人ものベスセラー作家を世に生み出してきたベテランの編集者に聞いたことがあるのだけれど、「売れる作家は直しが上手い」と言っていたのだった。ちょっと提案するとそこだけでなく、全体を書き換え、素晴らしくブラッシュアップした原稿が届くのだそうだ。

まさしく今、私が、吉祥寺の喫茶店で目の当たりにしているのはその光景だった。

感動に打ち震えつつ、「仕事」というものから得られる幸福を味わっていた。

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