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4月16日(火)本を売り続ける

まさかと思っていたが、本当に高野秀行さんから原稿が届く。

『クレイジー酒ジャーニー』と題されたエチオピアの奥地で酒を主食にした人たちを訪ねた旅行記である。あの「クレイジージャーニー」で放映された旅の物語だ。エピローグとプロローグを除いた単行本一冊分約250枚ある。

『謎の独立国家ソマリランド』の初稿原稿をいただいたのが2011年の終わりか、2012年の初めであったから、私が高野さんから単行本の原稿をいただいたのは12、13年ぶりとなる。干支が一周回っているではないか。

すぐにプリントアウトして読み出す。『謎の独立国家ソマリランド』の最終原稿が届いたときのことを思い出す。それは確か第3章の「大飢饉フィーバーの裏側」以降、エピローグまでの後半部分すべてが8月の半ばに届いたのだった。その日は午後の時間を原稿を読むのに費やすと、私はすぐに高野さんに電話をし感想を告げた。そして神保町のスペイン料理屋「オーレオーレ」で待ち合わすとワインを手に乾杯したのだった。のちに『謎の独立国家ソマリランド』は講談社ノンフィクション賞を受賞し、その二次会の会場を「オーレオーレ」にしたのはそんな経緯があったからだ。

『クレイジー酒ジャーニー』の原稿もすこぶる面白かった。『謎の独立国家ソマリランド』以降大作が続いていた高野さんが、かつて宮部みゆきさんから「心に半ズボンをはいている」と評されたその半ズボンを箪笥から引っ張り出し、膝小僧を擦り傷だらけにして草むらを走り回っているような印象を受けた。これぞ高野秀行!待っていたのだ。

夜、その高野秀行さんの本を日本で一番売り、ファンの間ではというか高野さん自身が聖地と呼ぶオークスブックセンター南柏店の高坂さんの飲み会に参加。

残念ながらその聖地・オークスブックセンター南柏店は5月26日日曜日をもって閉店することになってしまう。しかし書店員である高坂さんは、締めの挨拶で「(この後どこの店に異動なろうと)私は本を売り続けるので協力お願いします」と頭を下げたのだった。胸熱くなる夜。

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