5月12日(日)本物の編集発行人
午前中、父親の墓参り。その後、母親の車椅子を押して長い散歩。庭先に咲いている様々な花を眺めてまわる。
風強く来客なし。
実家の本棚に置いてあった『笹塚日記』を再読する。
最初の巻の目黒さんは、まだ本の雑誌社の発行人であり、実質的な編集長でもあったのだが、あんなにのんびりして見えた目黒さんのその仕事量におののく。のんびりしていたのは、隠居後のことだったのだ。
雑誌の対談のまとめから企画、依頼とすべてをこなし、さらに単行本のゲラを読んでタイトルや帯のコピーを考え、当時の書籍担当の編集者金子と本作りに勤しんでいる。もちろんこの間にもフリーで受けた仕事をこなし、本屋に行きたんまり本を買い、その本を読み、競馬にも出撃しているのだ。
その姿は、まさしく発行人であり、編集長だった。本物の編集発行人というのは、これくらい当たり前に働いていたのだ、と改めてひれ伏す。もう一度目黒さんの下で働きたい、と思った。