6月27日(木)推し
昨日訪問した渋谷のHMVさんは、5階のCD売り場だけでなく、6階の書籍売り場のレジにも大行列ができていた。
も、も、もしかして...。渋谷の若者が文庫化された『百年の孤独』を求めて並んでいるのか!?と先頭に確認に行くと、「櫻坂 自業自得 購入列」とプレートが立っており、5階は5階で、「INI」というグループのCDを買い求める列だった。
HMVさんはこうして人気グループのCDやアイドルの写真集の発売時に特典等を求めて混雑することがよくあるのだが、それにしてもかつてないほどの混みようだ。
とても書店員さんに声をかけられるような状態ではなく、しばらく観察した後、お店を出る。
その夜、坪内祐三さんの『日記から』が無事出来上がったお祝いに佐久間文子さんとともに飲んだ古書現世の向井さんに聞くところによると、櫻坂とINIのCD発売日が重なってしまい、どちらもデビュー以来の発売週連続1位を途切れさせてはならずと、ファンの人たちが買っているのだという。
特典やサインなどが欲しくてたくさんCDや写真集を買うのは知っていたけれど、推しを1位にするために大量購入するということもあるのか。保存用と読む用の2冊買うレベルではないのだった。推しエネルギー恐るべし。
それでは果たして「推し」たくなるものとはどんなものだろうか。
私が浦和レッズの選手で思わず声をあげて応援したくなるのは、一生懸命がんばっている選手だ。
ラインを割って外に出ようとするボールを必死にスライディングして止めたり、ロスタイムの最後の最後まで前線からディフェンスラインまで走ったりするそんな姿に胸熱くさせられ、思わず大声で叫んでしまう。
きっと櫻坂やINIの人たちもそうして一生懸命歌ったり踊ったりあるいは今よりよいパフォーマンスになるよう努力している姿を見せているのだろう。だからこそ、これだけの人がレジに並んでいるのだ。
出版社として、あるいは営業として、いやひとりの人間として、推される側になりたいのであれば、そういう姿を見せていかなければならない。