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7月6日(土)ジョシュア・ハマー『ハヤブサを盗んだ男』

  • ハヤブサを盗んだ男――野鳥闇取引に隠されたドラマ
  • 『ハヤブサを盗んだ男――野鳥闇取引に隠されたドラマ』
    ジョシュア・ハマー,屋代通子
    紀伊國屋書店
    2,750円(税込)
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朝9時。いつものように妻と介護施設へ母親を迎えにいく。

あまりの暑さに散歩は取りやめ、父親のお墓参りだけして、あとは終日クーラーをかけて部屋で過ごす。

そんな中、読み進んでいた、ジョシュア・ハマー『ハヤブサを盗んだ男 野鳥闇取引に隠されたドラマ』(紀伊國屋書店)が面白すぎた。

バーミンガム空港のラウンジで不審な男を見つけ身体検査をしたところ、なんと腹に巻き付けられた靴下に14個の鳥の卵が収められていた。男はそれをアヒルの卵だと言い張るが、実際には孵化を目前に控えたハヤブサの卵だった......。

いやはやハヤブサの卵や雛を巣から盗み取り、アラブの富豪に密やかに売買されているなんてまったく知らなかったし、そのハヤブサを使ってレースをしていることもさらに知らなかった。

『ハヤブサを盗んだ男』は、そういう知らないことがたくさん詰まった面白さとともに、盗む側と捕まえる側が交互に描かれ、まさに帯にある「手に汗握る」構成になっており、読み物として大変優れたノンフィクションだ。

しかもこの犯人の強烈さといったら、そんじょそこらの犯罪小説や冒険小説の主人公以上なのだ。すごいよ、この犯人は。

鳥関連の面白本といえば、5年前に読んだカーク・ウォレス・ジョンソン『大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件』(化学同人)が超傑作だったのだけれど、この『ハヤブサを盗んだ男』もそれと肩を並べる面白さだった。

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