8月3日(土) 小野寺史宜『モノ』
介護の合間に、小野寺史宜『モノ』(実業之日本社)読了。
浜松町から羽田空港を結ぶ東京モノレールを舞台に、総務部、運転手、駅員、作業員の人生の、小野寺史宜ならではの、一歩、ではなく半歩踏み出す物語。決して大きなストーリーがあるわけではなく、登場人物のそれまでの人生を丁寧に描いていく。それは私やあなたと変わらない人生だ。
小野寺史宜はそれをずっと書き続けている。きっとそこに「ドラマ」があると思っているのだ。そこにこそ「ドラマ」があると信じているのだ。そう、NHKの「ドキュメント72時間」のように。
『モノ』は、仕事小説であり、就活小説であり、恋愛小説でもある。要するに人間が暮らしている小説だ。
何よりも東京モノレールに乗りたくなる。めっちゃ乗りたくなって困る。