9月21日(土)いつも読んでますよ
「書籍の刊行計画なんてめちゃくちゃでほんと大変ですよ」
「一年に1万部を越える本が一冊でも出たら...って思いますよね。そしたら一息つけるというか」
「三冊赤字の本が続いたら資金繰りはショートしちゃいます。そしたら妻からお金借りたりして...。もう出版社やめろってと散々言われてます」
お茶丸ブックマーケット二日目。一緒に本を並べて売っている出版社のひとたちと隙をみて話をする。みんな黙っていては本が売れないからこうして机に本を並べ、自ら大きな声で来客を呼びかけ、ひとりひとりのお客さんと会話しながら、手間をかけて本を売っている。
本を作り、売り続けることに対しての苦しい言葉が続くけれど、一冊の本を、丁寧に、そして大切にしている様子は、机に並べた本を触る手つきで伝わってくる。また、一冊の本を、あるいは自身の出版社を知ってもらうために、刊行目録やしおり、グッズなどしっかり工夫して作ってもいるのだ。
本の雑誌社も、あるいは私自身も、同じ立場であるはずなのに、果たしてこの必死さがあるだろうか。会社の歴史や椎名さんや目黒さんの名の下に、あぐらのかいている部分もたぶんにあるのではなかろうか。
「いつも読んでますよ。楽しみにしています!」
そう声をかけて本を買って行ってくださる読者の方が何人もいた。それが、どれだけ幸福なことなのかをしっかり噛み締めなければならない。
午後5時、ポツリポツリと雨が降り出し、二日間に渡る「お茶丸広場ブックマーケット」が終わった。雨に濡れないよう、そして折り目がついたりしないよう、大切に本を片付けた。