10月21日(月)優先順位
朝、母親に今週末と来週末は、神保町ブックフェスティバルと伊野尾書店での本の産地市があるから迎えにいけないと話す。
本当は土曜日に話すつもりだったのだけれど、せっかく家に帰ってきたのに悲しい気持ちにさせるのもあれだしとかいろいろ考えて介護施設に戻る当日の朝になってしまった。
いや、ただ自分が言い出せなかっただけなのだけれど。
それを聞いた母親は表情も変えず、「いいよ、迎えに来なくても。あそこにいればいいんだから」と言った。
家に帰りたいと言われてもつらいけれど、施設に居ればいいといわれるのも切ない。結局、母親は私のことを気にして、本当のことを言えずにいるのだろうと思ってしまう。
私は、本を作り、本を売って、暮らしている。それができなければ暮らしていけない。だから最優先にしているのだけれど、ときおりその優先順位があっているのかわからなくなる。
冷たい風の吹く中、介護施設の車にウィンチで引き上げられ、しっかり車椅子を固定され、窓の向こうから母親が手を振っている。
私も手を振りかえす。
スーツに着替えて会社にいく。