12月15日(日)木内昇『雪夢往来』
晴天。風もないので、父親のお墓参りののち、母親の車椅子を押して散歩。
いつもならのんびり時間をかけて町内を一周するのだけれど、今日はつい早足になってしまう。なぜなら年末までとっておこうかと思っていた木内昇の新刊『雪夢往来』(新潮社)を読み出したところだったからだ。
散歩から戻り、母親の昼食を用意してから夢中になって『雪夢往来』を読む。
あの、北国の暮らしを描いた名著『北越雪譜』が刊行されるまでを縦軸に(なんと紆余曲折あって40年もかかっているのだ!その40年を木内昇は描ききるのだ!)、山東京伝や滝沢馬琴など人気を誇った作家たちの嫉妬や蔑みが版元も交えて大変人間臭く横軸で描かれる(その人物造形の見事たるや!)。
その物語の芯には、書くとは何か、出版とは何か、が追求され、鬼気迫るものがある。
介護を忘れる面白さ。さすが木内昇。あっぱれ!