8月25日(月)島沢優子『叱らない時代の指導術 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践』
島沢優子『叱らない時代の指導術 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践』 (NHK出版新書)を読了する。
息子が小学校のときに入ってた少年団は明らかに「叱る」指導で、叱るどころか小学生の襟首捕まえてぶん回すようなコーチだった。
アホだなあと冷めた目で見ていたのが悪かったのか、今から考えると私に対しての報復措置だったのだろう。小学6年生となり卒団まで残り3ヶ月となったところで息子が標的にされた。
練習や試合に行けば至近距離で怒鳴られ、浦和レッズの応援で休んだら呼び出された。少年団の規則を紐解くとJリーグを観に行くのは欠席にならないと記されているのにだ。
息子もパンク寸前だったが、妻の方が限界だった。
これは前にも書いたような気がするけれど、ある夕方、息子とランニングしながら考えた。少年団を続けるか、やめるか。というか「やめるか?」と私が訊いたら、息子は「やめていいの?」と驚いた顔をして聞き返してきたのだ。
そりゃあやめていいだろ。サッカーは楽しむためにやってるのに、楽しくないならやめた方がいい。
そして、息子は少年団をやめた。
いまだにわからないのはその後の妻の行動だ。
妻はあちこちのサッカークラブを検索し、小6の冬から入れるクラブを探し出したのだ。
息子は少年団でもレギュラーになれないくらい下手だった。Jリーガーになんて絶対なれないし、高校選手権にも出られるわけもない。サッカーを続ける必要なんてなかったのだ。
それなのに妻は必死にクラブを探した。そして埼スタサッカースクールというサッカークラブを探し当て、息子を連れて話を聞きに行き、車の運転が嫌いなのに送迎をすることにして、入会した。
その埼スタサッカースクールはまったく「叱らない指導」だった。グラウンドに響き渡るのはコーチの「ナイス!」という褒める声ばかりで、息子はそこで生まれて初めてサッカーを楽しんだ。大笑いしながらサッカーをして、意味もなくマルセイユ・ルーレットを何周もしていた。
息子の通っていた少年団の子たちは、ほとんど中学でサッカーをやめてしまった。
その少年団を残り3ヶ月でやめた息子は今、サッカーの仕事に就いて、毎日ボールを蹴っている。