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9月14日(日)伏尾美紀『百年の時効』

  • 百年の時効
  • 『百年の時効』
    伏尾 美紀
    幻冬舎
    2,310円(税込)
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読み終えた今、物語酔いにふらついている。すごい物語だった。550ページ、まったく途中で本を置くことなく、食事のときも、その食事を作っているときも、お風呂もトイレも本を手にしながらだった。

伏尾美紀『百年の時効』(幻冬舎)は、骨太で、壮大で、人間の苦しみ哀しみ、そして執念...すべてが詰まった物語だ。

昭和49年、春の嵐の夜、東京の佃島でとある一家が日本刀で虐殺される事件が起きた。その事件は主犯がひとり逮捕されるも犯行現場から推測される共犯者は見つからぬまま時は令和を迎えていた。

昭和、平成、令和と事件に司る3人の刑事が、まさしく「警官の血」で、時効が止まっている事件を追い続ける。単なる犯人探しや謎解きを超え、物語が広げる風呂敷の風圧に吹き飛ばされる放心の小説だ。

今日が休みでよかった。もし休みでなかったとしても休みをとって読んでいたことだろう。

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