10月17日(金)早朝出社
仕事の山積み解消のため7時半に出社。着いてコーヒーを淹れていると事務の浜田からスマホにメッセージが届く。
「おはようございます!
神保町ブックフェスティバルの在庫移動、月曜日で間に合うので、代休取って下さい!!」
働きすぎを心配してくれて大変ありがたいのだが、もう会社に着いているのだった。
とにかく今日中に作られねばならぬのは書店さん向けDMなのだった。これがいつもなら新刊のチラシに、本の雑誌通信という月刊情報紙と一覧注文書の3種三枚なんだけれど、今回は一月の新刊が2点あり、特大号になる一月号の定期改正用紙も同封せねばならず、4種7枚を作られなばならないのだった。
InDesignを開き、コーヒーを一口飲んで、手を動かしていく。
出版業というのはつくづく不思議な業界だと思う。たった紙っぺら一枚に書名と著者名とちょっとした内容紹介が書かれたチラシだけで注文が集まるのだ。
もちろんそれまでの信頼の積み重ねというのもあるのだけれど、このチラシ一枚から売れ行きを想像できる書店員さんの能力というのは特殊能力なのではなかろうか。
逆にいえば出版社の売上の最初の一歩は、すべてこのチラシ一枚にかかっているのである。「千里の道も一歩から」というが、「10万部のペストセラーもチラシ一枚から」なのだった。
『おすすめ文庫王国2026』.近藤康太郎『本をすすめる』、伊野尾宏之『本屋の人生』のチラシを黙々と作り、作業開始から4時間が過ぎた11時半にはDM4種7枚が出来上がる。
昼、偕成社の営業・塚田さんがやってくる。その手には定年を記念して作られたZINE『旅する、本屋巡る。』(ツカヌンティウスよしゆき名義)が握られていた。早速、購入。
塚田さんは書店営業で全国1000軒以上の本屋さんを訪問しており、今回のこのZINEはその集大成のようなものだ。
素晴らしいのはこのお店で何冊の注文をとったとか自慢話は皆無で、まるで旅行記のように食や酒やサウナと共に記しているところである。働いているところを見せないのが真の営業なのだ。
その塚田さんとランチ&コーヒーし、午後も集中してデスクワークを処理していき、勤務時間が11時間を過ぎた頃、だいぶ見通しが立つ。