11月18日(火)石田夏穂『緑十字のエース』
どどどどどうして、工事現場の、それも基礎工事の、さらに安全管理担当が主人公の小説が、こここここんなに面白いんだろうか!? 今日の今日まで「泥引き」なんて言葉すら知らなかったのに、タイヤの跡が気になって仕方ない。やはり小説はディテールってことなんだろうか。それとも石田夏穂の力なのだろうか。
そう、石田夏穂『緑十字のエース』(双葉社)を夢中になって読んだのだ。
話はつい3か月前まで三岸地所という大手ゼネコンの積算部長だった浜地が現場に向かうところから始まる。といっても浜地はある問題から三岸地所を退職しており、あまく考えていた転職活動に失敗し、やっとつけた仕事が二階建てのプレハブが事務所の工事現場の安全管理の仕事なのだった。
そこからの話はほとんど基礎工事と安全管理の話なのである。とてつもなつ地味な話のはずなのにページをめくる手が止まらないのだから石田夏穂という作家はおそるべき書き手である。
そういえば上半期ベストテンを決める社内座談会の時に事務の浜田が必死に石田夏穂を推していたのだ。
ベストを決めるとベストがでる、という法則は今年も当てはまった。今からベストを決めるなら『緑十字のエース』は絶対ベストに入れただろう。来年のベストよ、待っておれ。
帰りにお茶の水の丸善さんに寄り、石田夏穂の本を大人買いする。






