11月19日(水)酒場の背景
いつも指定した列車の1時間も前に東京駅に着き時間を持て余す新幹線なのだが、よく考えたら変更可能のチケットをとっているのだから、東京駅に着いたところで乗車する新幹線を予約し直せばいいのだと気づく。
もちろん午前中の発車間際の新幹線は混んでいるから通路側か三列シートの真ん中しか空いてないけれど、席なんかどこでもよく予定より40分早い新幹線に変更し、新大阪を目指す。
今回の出張は明後日行われるBOOK'NBOOTHでの高野秀行さんのトークイベントの立ち会い。その前後に書店さんを回ろうと新大阪から神戸線の新快速に乗り換え、一路三ノ宮に向かった。
夕方、梅田でスズキナオさんと待ち合わせし、大阪のディープな酒場に連れて行っていただく。そこは梅田から地下鉄を乗り継ぎ30分、さらに駅を出てから15分ほど歩いて辿り着く、わが酒飲み人生で一番遠路はるばる酒を求めて到着した酒場であった。
いつぞやスズキナオさんに酒場のどんなところが好きなんですか?と尋ねたことがあるのだけれど、その時ナオさんは確か酒場で何か話をするとかでもなくただただ溶け込んでいる感じが好きだとおっしゃっていた。
それはどんな感じなんだろうと思っていたら、本日瓶ビール2本とレモンサワー二杯を飲んだあたりで、まるで自分はその酒場の書き割りの背景になったような気がしてきたのだった。
そのまったくの透明化というか浮遊感というかそれは大変心地よく、気づけばナオさんとほとんど会話もせず、周りのお客さんの関西弁の会話をラジオのように聴いている時間が過ぎているのであった。それはそれは素晴らしい時間だった。





