3月24日(火)背中
会社を休み、母親の介護施設を訪問する。
いつもショートステイでお世話になっている施設の2階がサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)になっており、部屋が空いたのでどうかと声をかけていただいたのだ。
部屋は申し分ないのだけれど、サ高住というのは基本自分のことは自分でするわけで、左半身に麻痺が残る母親にそれができるのか皆目検討がつかない。
日々母親を見ている施設の人は大丈夫でしょうと言う。しかし週末私が世話しているときはベッドから起きるのも手助けしているのであり、もしかして私は手を添え過ぎているということだろうか。
見学を終え、ケアマネジャーさんに連絡をするとすぐに施設を訪問してくれるという。しばらくすると感想と今後のケアプランの提案などもしていただく。
今日は妻も休んで施設見学に同席してくれたのだった。ひとりでないことがこんなに心強いと感じたことはない。しかし、決断は自分がしなければならない。
「自分の家が一番」という母親の言葉、「自宅で面倒みれないの?」という近所の人たちの声、「これからも週末よろしくね」という母親の友達からのプレッシャー、そして「杉江さん、まだ介護続けてるの? 偉すぎるよ」という励まし、いろんな声が頭の中をぐるぐるする。
西の空が赤く染まる頃、ランニングをしていると、仕事場から帰ってくる息子とばったり会う。声をかけ、言葉を交わし、自転車の息子は私を残して、一足先に自宅に向かう。
夕日に包まれるその背中は、小さくなっていくはずなのに、私にはなぜかどんどん大きくなっていくように見えた。





