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3月27日(金)水鈴社は人

昨日、中央公論新社の営業Y氏が、とある地方の書店員さんを本の雑誌社へ連れて来てくださった。

いろいろお話をし、この後どうするんですか?と訪ねると、水鈴社にアポをとっているという。

水鈴社! 水鈴社といえばこの春、神保町に引っ越してきたのにいまだ本の雑誌社に挨拶に来ていない不届な出版社ではないかっ!(水鈴社の社長は元本の雑誌社のアルバイトで、こんな冗談を事務の浜田としていたのだ)

ならば私もこっそりついてき闇討ちしてやろうと、出会って一時間の書店員さんと肩を並べて水鈴社のあるつり人社のビルに向かったのだった。

でだ。闇討ちに行ったはずなのだけれども私は応接室に通されプリンなど出されると、根が小心の常識人にできているので、なるべく書店員さんと水鈴社の人たちの会話の邪魔をしないよう無口を貫き、身を小さくしていたのだ。

そうしてしばらくすると書店員さんが、「水鈴社は、人って感じがします」と言うのだった。

人? 私だけでなく、元助っ人で現水鈴社社長の篠原君も不思議そうに首を傾げた。

思わず手を挙げ、発言を求める。「それ、どういうことですか?」と書店員さんに質問すると、「私みたいな田舎の本屋は、出版社の人と会う機会がないんで、ほとんどメールとか新刊案内だけでドキドキしながらやりとりをしているんです。でも水鈴社は、案内とかメールからすごく人がいる、人が作ってるって感じられるんです」と言うのだった。

背筋が伸びた。闇討ちどころでなく、自分がその場で切腹しようかと思った。

ちょうどその日の午前中、私は書店向け新刊チラシを作っていたのだけど、それが通り一遍の文章で、まあ、急がなきゃいけないからこれでいいやと目をつむりコピーしていたのだ。

水鈴社の面会を終えると書店員さんをお茶の水の駅に送り、私はすぐに注文書を作り直した。ださいかもしれないけれど、真っ赤な血の流れてる文章で。

水鈴社よ、篠原君よ、ありがとう!
私も君に負けないくらいがんばるよ。

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