5月21日(木)休むこと
夜、名古屋から乗った新幹線を終点の東京駅で降り、京浜東北線のホームに立つと身震いした。名古屋の汗ばむ陽気から10度以上は下がっているのではなかろうか。慌ててジャケットを羽織った。
ホームに入ってきた京浜東北線に乗り込んだあたりから何やら体調が怪しくなる。頭が痛く、冷や汗が流れ、吐き気がし、心臓が激しく鼓動を打つ。いつも電車で座ることもないのだが、秋葉原駅で席が空くとすかさず座り込んでしまった。
ふと、自分は死ぬのではないかと思った。
ここのところ休みもなく働いており、しかもなぜか営業の私が毎月新刊を作るプレッシャーにさらされている。そういえば先週あたりから頭痛がしていたのだ。体力と精神力を過信し、ついに身体と心の限界を超えてしまったのかもしれない。
震える指でスマホをいじり検索する。悪寒、震え、頭痛、吐き気、耳鳴り、冷や汗、心筋梗塞、くも膜下、脳梗塞、うつ病...。
深呼吸をしてパニックになりそうな自分を抑え、震える身体を抱きしめる。とにかく無事、家に帰りたい。家に帰って、家族の顔を見たい。3年前に他界した父親に祈る。「オヤジ、頼む。まだ俺を生かしてください」
途中下車して救急車を呼ぼうかと思ったが、どうにか乗り換えの南浦和にたどり着き、いつもは一段抜かしで駆け上がる階段をゆっくりゆっくり登った。家まで、もう少し。もう少し。
たった一駅をこれまでで一番長く感じ東浦和に着くと、見慣れた景色が身体を包む。もう大丈夫。そう言い聞かせて、家に向かってゆっくり歩く。玄関を開け、すぐにベッドに横になる。私の帰宅に気づいた子供たちが代わる代わる顔を覗かせる。
「おかえり」
「ただいま」
骨折した腕を吊る息子からその後の様子を聞き、娘は出張でなぜか本が増えて帰ってきた私の荷物を笑って見ている。しばらく横になっていると、動悸もおさまり平常に戻った。
寒暖差の影響かもしれないし、新幹線の中で飲んだビールのせいかもしれない。もしかすると単なる気のせいかもしれない。
いややはり過労やストレスからくる変調か、もっと深刻な病気の予兆なのかもしれない。今日は父親が助けてくれたのかもしれない。
休もう。休まなければならない。





