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11月2日(月)出版梓会新聞社学芸文化賞特別賞

東武伊勢崎線武里駅から10時18分に出社。昨夜、母親が「施設に戻りたくない」とつぶやいたのを聞こえなかったふりをしやり過ごしたのだが、もちろん私の心にはひっかかり暗い気持ちに苛まれている。

その気持ちを忘れるために、社内で昨日発表になった梓会出版文化賞についての話をする。

この賞は作家や作品に贈られる賞ではなく、出版社を対象に顕彰する賞であり、優れた出版活動を行っている出版社に授けられるものなのだった。

その選考の対象は書籍であり、書籍で受賞できたことが、ことのほかうれしかった。

なぜなら本の雑誌社のこの20年は「雑誌版元」から「書籍版元」に移行していく20年であり、私はその移行に孤軍奮闘してきたのだ。

本の雑誌社には書籍を作れる編集者がいなかった。いても居付かず、3年程度でやめていった。その責任は私にもあるのだけれど、ならば結局自分で作るしかないと2008年から書籍編集に挑み始めたのだ。

ただし社内には書籍の編集者がいないのだから誰も教えてくれるわけではない。見よう見まね、いやそのとき仕事をする著者はもちろんのこと、デザイナーさん、校正家さん、そして他社の編集の方から学んでいった。

もちろんいまだって半人前以下だと思いながら本作りをしているのだけれど、そうして必死に作ってきた本が評価対象となり、この度、第23回 出版梓会新聞社学芸文化賞特別賞をいただけたことはとにかく飛び上がるほどうれしかった。努力はときに報われるのかもしれないとも思った。

午前中で、年内のほとんどの仕事にかたがつき、身も心も空っぽになる。
午後、丸善丸の内本店さんに追加注文いただいた「本の雑誌」2026年11月号を届ける。

11月1日(日)カレーとゲップ

  • サヴァンナ (100min.NOVELLA)
  • 『サヴァンナ (100min.NOVELLA)』
    松永 K 三蔵
    U-NEXT
    990円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

4時15分起床。7時まで松永K三蔵『サヴァンナ』(U-NEXT)を読む。

発売前にあらすじを読んだ鴨葱書店の大森さんが、「「サヴァンナ」って『コインロッカー・ベイビーズ』の「ダチュラ」じゃないですか!?」とPodcastで話していたのだが、ほんとにその通りだった。管理システムや社会を破壊する言葉。それがダチュラであり、サヴァンナなのだ。松永K三蔵はやっぱり最高だ!

8時に母親を起こして、朝食。掃除をしてから父親のお墓参りと散歩。ひなたはあたたかく、ひかげは寒い。

11時に戻り、それからは座談会のまとめに勤しむ。

夜、床に就いた母親がやたらにゲップをしている。なんだろうと心配になりつつ、夕食のカレーとゲップを検索したら、「カレーのルウに含まれる動物性油脂、バター、肉の脂身などは消化に時間がかかり、胃の中に長く留まるため、ガスやゲップとして上がってきやすくなります」と出てくる。

カレーのせいか。カレー楽だし、好きだしで、月に一度は食卓にあげていたのだけれど、今後は控えた方がいいのだろうか。それとも薄くして食べさせる。

しばらくするとゲップがやんだので、自室に戻り、就寝。

10月31日(土)老後の孤独

週末実家介護。母親を迎えにいく。

2週間前に実家の母親のところに遊びにきたOさんに、「だいぶ暗くなっているので帰りの自転車気をつけてくださいね」と声をかけたら涙ぐまれた。

「もうね、そういう心配してくれる人が誰もいないの。一緒に住む出る息子はいただきますとごちそうさましか言わないし、娘とお父さんは10年前に亡くなったし」

その翌日遊びに来たIさんは、来ると必ずこう言う・

「ここに来てしゃべらないと、しゃべり方忘れちゃうのよ。というか筋肉が衰えて声が出なっちゃう。」

自宅の隣のUさんは8年前に奥さんを亡くし、今は広い家にひとりで住んでいる。週に一度、軽トラでやってくる豆腐さんと長話をしている。

老後──いつから老後というのだろうか。仕事をやめたとき? あるいは独り身になったとき? 今、見ている限り、老後、人は恐ろしいほど孤独になる。

読書で、その孤独は逃れられるのか。
あるいは友のいる街に引っ越したほうがいいのか。

10月30日(金)坪内祐三『眼は行動する』

5時17分起床。ランニングしようと思ったら雨が降っており、読書に切り替え。

9時38分出社。10時半から会議。

会議終えたところで、デザイナーの松本さんから坪内祐三『眼は行動する』の初校ゲラが届く。9月、10月と散々本を作ったのに新たなゲラが届くと胸が踊る。

1時半にふらりと外に出て、昼食。ひさしぶりにめんめんかめぞうへ。変わらぬ味と変わらぬ店主に涙が出そうになる。

満腹後、座談会のまとめ。気持ちがのるまでに時間がかかる。

17時に会社を出て、飯田橋のホテルエドモントへ。第36回鮎川哲也賞の受賞式に参加する。

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