『「Guitar magazine」2017年4月号』ギター・マガジン編集部

●今回の書評担当者●東京堂書店神田神保町店 河合靖

  • Guitar magazine (ギター・マガジン) 2017年 4月号 (CD付) [雑誌]
  • 『Guitar magazine (ギター・マガジン) 2017年 4月号 (CD付) [雑誌]』
    リットーミュージック
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 今回はイレギュラーではあるが雑誌の紹介になる。本の紹介ではないがお許しください。

 特集があまりにも素晴らしく、またこの特集だけでも1冊の本が出来てしまう位に内容が充実しているためである。「恋する歌謡曲」と題した何と104ページの総力特集である。

 歌謡曲の全盛期は70年代~80年代半ばまでで、当時は「夜のヒットスタジオ」、「ザ・ベストテン」といった音楽番組が存在し社会的にも大きな影響を与えていた。そのため音楽に興味のない一般の人でも、当時のヒット曲を知らない人はいなかったくらいである。

 これこそが歌謡曲の凄いところである。

 そのヒット曲の大きな魅力のひとつがイントロである。当時の基本は長くて8小節。その短い区画で編曲者達が続きを聞きたくなるような工夫を凝らしていた。イントロの出来不出来でセールスが左右される時代でもあったのである。

 しかし一方で歌手のバックを受け持つ演奏家達はレコードのクレジットにも名前すら出ず世間に知られる事が少なかった時代でもある。その時代のヒットソングを支えた歌謡スターとギタリストたちの物語がそれはもう盛り沢山。当時の演奏家のインタビューを是非一読されたし。

"矢島賢"は山口百恵メインでその他、中森明菜の「少女A」、松田聖子の「青い珊瑚礁」等を演奏している。当時、初見で1曲を1時間で録っていたという話は今や伝説。

"水谷公生"はキャンディーズメインでその他、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」、渡辺真知子の「かもめが翔んだ日」などが有名である。奥様であり作家の小川糸さんも登場する最新撮りおろしインタビューは必読。更には沢田研二のバックを担当した"井上堯之"。西城秀樹が自ら口説いた"芳野藤丸"。80年代2大巨頭"松原正樹"、"今剛"の章。まだまだ他にも"大村憲司"、"鈴木茂"、トリは"小室哲哉"のスペシャル・インタビューだ。

 でもこの特集の中でも1番興味深かったのは"野口五郎"と"Char"のスペシャルトーク・セッションだ。「夜のヒットスタジオ」(77年7月):野口五郎「季節風」/Char「気絶するほど悩ましい」の時、生番組の収録後、野口五郎にCharが「うち来ない?」と誘われ家に行ったら、なんと家の中にレコーディングスタジオがあってセッションを敢行したという話。これは実際にあった出来事だったのか......? これ本当の話で、出会ったその日に意気投合し即興で1.5曲くらいを一晩で録ったらしい。

 今回約40年ぶりの再会とは思えない白熱したトーク・セッション。70年代の歌謡界を牽引した両雄が語る貴重なエピソードの数々。同い年でギターの名手であるこの2人のトークに悶絶する事必至。

 おまけもすごいぞ! 永久保存版ギタースコアブック! ギターがカッコいい歌謡曲5選! だ。

「ギターマガジン」と「本の雑誌」の2誌だけが今現在も買い続けている雑誌である。両誌とも30年以上の付き合いなので、考えてみると結構すごい事だと思う。今後も長い付合いになるだろう。

「ギターマガジン」は、やはりギターを弾く人の雑誌だが、今回紹介させていただいた4月号はきっと音楽が好きな人なら絶対に面白く読めると思う。是非書店で見かけたら手に取ってみてください。

« 前のページ | 次のページ »

東京堂書店神田神保町店 河合靖
東京堂書店神田神保町店 河合靖
1961年 生まれ。高校卒業後「八重洲ブックセンター」に入社。本店、支店で28年 間勤務。その後、町の小さな本屋で2年間勤め、6年前に東京堂書店に入社、現在に至る。一応店長ではあ るが神保町では多くの物凄く元気な長老たちにまだまだ小僧扱いされている。 無頼派作家の作品と映画とバイクとロックをこよなく愛す。おやじバンド活動を定期的に行っており、バンド名は「party of meteors」。白川道大先生の最高傑作「流星たちの宴」を英訳?! 頂いちゃいました。