第32回  お茶界の偉い人 神農様のこと

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 中国四千年の歴史......なんて言葉、もう古いんでしょうかね。日本ではこれ、「中華三昧」というインスタントラーメンのキャッチコピーとして広まったんですね。でも、中国的には、「五千年だ!! 千年分どこいった?!」と怒ってるそう。ちなみに、ラーメンマンは三千年って言ってたって......千年単位で違う、って、さすが中国、いろんな意味でスケールが大きい。
 さぁ、では中国茶の歴史は?
 紀元前二千七百年に遡ります。
 キーパーソンは神農。
 と言ってもこの方、人間ではありません。神様です。三皇五帝の三皇の一人。三皇は三人の神様、五帝は五人の聖人のこと。この方なくしては、我々人類はお茶と出会うことはありませんでした。
 神様らしく、お腹が透明に透けていたそうな......人体模型のような感じですかね。
 神農はお薬の神様で、野の草や木から、人に役立つ薬を数多く見つけたそうです。「神農嘗百草、日遇七十二毒、得荼而解」神農は、百の草を試し、一日に七十二回も中毒になり、お茶によって助かった、と世界初のお薬の書「神農本草経」にあります(でも最後は毒が蓄積してお亡くなりに)。
 また、疲れた神農が木陰で一休みしようとお湯を沸かしていると、一枚の葉っぱがお湯の中にひらりと落ちたそうです。そのお湯があまりに良い香りをさせていたので、思わず飲んでしまったことが、お茶の始ま
りだとも。
 そう、お茶は最初、薬だったのです。日本語でも、薬の頓服、お茶を一服、のように、同じ字が使われていますね。
 薬として見いだされたお茶が、今のような嗜好飲料になるには、まだまだ時間が必要です。