第37回 お茶界の偉い人 最澄様と空海様と栄西様のこと

  • 栄西 喫茶養生記 (講談社学術文庫)
  • 『栄西 喫茶養生記 (講談社学術文庫)』
    古田 紹欽
    講談社
    669円(税込)
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 中国の偉い人を一通りご紹介したので、今度は日本の偉い人に参りましょう。
 日本にお茶の種を持ち込んだのは、一説にはあの最澄様と空海様だと言われています。805年、唐より戻ってきた際に比叡山の麓に植えた、と(現在も、日吉茶園として残っているそうですよ)。でもこの時はまだ身分の高い人の嗜み、一般には普及しなかったそうです。
 
 一度は日本で廃れてしまったお茶の習慣が、もう一度流行るには。
 1191年、栄西様の登場を待たなければいけません。
 宋で入手したお茶の種を持ち帰った栄西様、精力的に日本での栽培を広め、今度は貴族だけでなく、庶民にも馴染みのある存在にしてくれました。
 宋代のこの頃、中国でのお茶の飲み方は、乾燥させて固めたお茶を、炙って、粉にひいて、茶筅で泡立てて飲む点茶。そのまんま、現在の日本の抹茶の飲み方ですよね。そして今度こそ、お茶はしっかり日本に根付きました。
 今となっては、中国のみならず世界で「日本のMACHA」は大人気。栄西様も鼻が高いかも知れません。
 さらに、栄西様は『喫茶養生記』という上下二巻組の本も書かれています。上巻「五臓和合門」ではお茶の種類や、抹茶の作り方、お茶の効能を。でも、下巻「遣除鬼魅門」ではなぜか桑の葉の効能について述べています......栄西様、これ「喫【茶&桑】養生記」では。

 このあと、日本でのお茶の発展については、中国茶とはちょっと趣旨が外れるので、割愛。
 でも、日本に美味しいお茶を持ってきてくれた最澄様と空海様、そして広めてくれた栄西様、ありがとう。