2010年8月9日

第8回 新しい庶民酒をつくる東京の地域力 〈前編〉

 居酒屋で誰もが注文する酎ハイやサワー類は、東京の中小清涼飲料メーカーの知られざるモノづくりの努力に支えられています。東京の庶民酒の歴史を探訪する「ききあるき・東京酎ハイ物語」は、折り返しの第8回目を迎えることができました。取材にご協力いただいている関係各社のみなさまに、深くお礼申し上げます。  本連載が焼酎ハイボールを追いかけている間、巷ではサントリーの仕掛けがみごとに当たり、ウイスキーハイボールのブームが到来しました。焼酎の割り材(ミキサードリンク)を製造する清涼飲料業界にも、うれしい追い風です。  CMでおなじみの大手メーカー以外にも、ハイボールと銘打つ新商品が次々と発売されています。なかでも2010年4月、「カンダ梅ハイボール」を出した㈱神田食品研究所は、下町および東京低地の新下町で1950年代後半から今日まで、約50年もの長いあいだ、親しまれてきたハイボール原液を製造する会社です。  古いのに新しい、ハイボールの人気の秘密は、どこにあるのか。今回の取材では、企業の第一線でハイボールの製品開発に取り組んできた同社の製造課長 兼 研究開発室長・秦好昭さんに、作り手の立場で考え抜いたハイボールの魅力について、お話をうかがうことができました。