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11月5日(水)

 先週末、所用があって神保町に行くと、「神田古本まつり」をやっていた。そうか、もうそんな季節なんだ。会議の時間まであまり間もなかったので、じっく り覗いている暇はない。駆け足で屋台を覗いていく。驚いたのは、立風書房の『新青年傑作選』全5巻がたったの4000円だったこと。20年前に阿佐ヶ谷の 古本屋で7000円で買った記憶がある。いまの4000円と、20年前の7000円では大違いだ。

 よくあることだから、それはいい。おやっと思ったのは、筑摩書房の『明治大正図絵』の端本が数冊並んでいたことだ。これは、1978年から1979年に かけて全17巻で刊行されたものだが、たとえばその第16巻「海外」の帯には、「様々な可能性を求めて人々は遠い海を渡った。留学・探検・移民・戦争、こ こにそのドラマが展開する」とある。「図絵」であるから、イラストや写真がふんだんに入っていて、見ているだけで飽きない。

 その第16巻を棚から抜き出して古書価を確認してみると、なんと1冊400円。この本の定価は2200円である。1970年代後半の2200円は高価 だ。大判のソフト箱入りで、イラストや写真がたくさん入っていて、カラーも少なくないから、その値段も致し方ないが、それがたったの400円。15年ほど 前に、この全17巻揃いを2万円で買ったのである。つまり私は持っている。それがたとえ端本とはいえ、1冊400円という価格は面白くない。自分の持って いるものはもっと高くあってほしい、というせこい考えをあざ笑うかのようなお手頃価格なのだ。

 そのときに、揃いで買ったのに、何度も引っ越しや移動を繰り返しているうちに、あとのほうの巻が1〜2冊欠けてしまったことを思い出した。具体的に第何 巻が欠けたのか、いくら考えても思い出せない。で、第17巻の端本はなかったので、第16巻を買ってきた。このあたりなら間違いないだろう。欠けているの は「数冊」なのだ。後ろから2巻目くらいなら安全圏だ。ところが帰宅して自分の書棚を見ると、『明治大正図絵』は全17巻が全部ある。えーっ、そうなん だ。この叢書は揃っているんだ。結局、400円を損してしまったわけだが、絶対に持ってないと確信して、ある全集の端本を5冊買って帰ったら全部だぶって いた10年前のショックに比べれば、どうってことない。しかもそのときは1冊2000円、合計で1万円の出費。あまり悔しいので買ってきた5冊の包装をと かずにそのままどこかへ隠してしまった。こんなの、見たくありません。

 ということは、うしろのほうの巻が欠けているのは、別の叢書だったことになるが、それが何なのかいまだにわからないのである。何だったかなあ。
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