10月28日(水)シアトルのスタバ

  • メタリストと楽しむはじめてのモルック
  • 『メタリストと楽しむはじめてのモルック』
    佐々木拓哉
    本の雑誌社
    1,870円(税込)
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5時12分起床。日の出を待ってランニング。最も走りやすい季節到来。

朝食をとっていると、リビングから「京浜東北線止まってるよ」の声。たしかにテレビ画面に「京浜東北線 運転見合わせ」の文字があり、慌ててSNSで検索すると田端駅〜上中里駅間の倒木の影響で止まっているらしい。しかも運転再開の目処がたっていないという。

どうにもならん。

手帳を開いて確かめると、本日の予定は16時に著者に見本を持っていくだけなので、ひとまず慌てる必要はない。ならば本でも読もうとベッドに横になる。

9時過ぎに運転再開の報を受け、11時に出社。

するとすぐに青土社のエノ氏が青筋を立ててやってくる。

「杉江さん! 僕に謝ってください!!」と叫ぶ。

何のことかと思ったら、昨日『Z世代の本の雑誌』の編集長スガノさんがやってきて、これから青土社のエノ氏と会うというので、エノ氏もスタバに入ったことないはずだから聞いてみなとことづけたのだった。

ところがエノ氏は、小学校高学年から中学生の数年間、スターバックス発祥の地シアトルで暮らしていたそうで、スターバックス1号店に通っていたという。しかもスタバだけでなくBarnes & Nobleも贔屓にしていたし、紀伊國屋書店といえばシアトル店だったそう。

いやはや単なる三重の暴れん坊だと思っていた私が悪かった。素直に謝ると、「そうは言っても今は日本のマクドナルドも難しすぎて注文できないですけどね」とカミングアウトして帰っていった。

エノ氏が帰ったあと後、デスクワークをし、来週開催の文学フリマ東京の荷物の準備をする。段ボール3箱。

14時前に会社を出、早稲田の古書現世向井さんのところへ。とある雑誌よりスッキリ隊の取材依頼があったのでその相談。

その後、高田馬場の芳林堂を訪問して、ときわ書房から転職された宇田川さんにご挨拶する。

16時に池袋のメトロポリタンプラザにあるWeWorkに向かい、モルック世界大会銀メダリストの佐々木拓哉さんにできたばかりの『メダリストと楽しむはじめてのモルック』の見本をお渡しする。

これにて9月半ばから約1ヶ月の間に書籍4点、ZINE3点を校了するという狂気の世界も終了となる。

売るものがいっぱいだ。売りに行くぞ。

10月27日(火)健康診断

4時55分起床。トイレで検尿検便をし、許されているコップ一杯の水を飲んで、8時3分に御茶ノ水の出版健保へ。5番。いったい1番を取るには何時にくればいいのだろうか。年に一度の健康診断。特に問題なし。

9時45分に出社。健康診断会場で編集発行人の浜本の姿を見かけたが出社はせず。コロナ以降、日々どこでなにをしているのかしていないのかさっぱりわからず。

メールチェック後、千代田区立図書館へ。昨日買うことの出来なかった読売新聞を探し、金原ひとみさんによる村上龍さんへの追悼文をコピーする。

金原さんは、「中二の夏『コインロッカー・ベイビーズ』を読み、この小説が存在する世界なら生きられるかもしれないと淡い希望を抱き、縋るように読む書くの双方向から小説の世界に耽溺していった」と書くが、私は「十八歳の夏『コインロッカー・ベイビーズ』を読み、この小説が存在する世界なら生きられるかもしれないと淡い希望を抱き、縋るように売る作るの双方向から出版の世界に耽溺していった」のであった。

2時過ぎに集英社宣伝部のみなさん、3時にパブリのみなさん、そして4時に『Z世代の本の雑誌』の編集長スガノさんやってくる。

何気なくインターンの申し込みをしてみたところから、まさか雑誌を一冊作り、それを売ることになるとは思いもしなかっただろうが、なにひとつ愚痴もこぼさず、遅れることなく作り上げた彼女に盛大な拍手を送りたい。

6時にネットで予約いただいた方への封入作業を終える。これにてひとまず超実践インターンは終了する。まるで卒業式の気分。目黒さんの言葉を思い出す。

「君に幸あれ!」

猛然と、本の雑誌社を新卒採用できる会社にしたいという気持ちが湧いてくる。新しい才能を、若い希望を、受け止められる組織になりたい。

10月26日(月)村上龍さんに誓う

神保町ブックフェスティバルは2日とも雨に終わってしまったのだけれど、完全中止の昨年に比べると少しでも本は売れたし、読者の方とお話もできたし、そしてあの雨の中、本を守ることもできたので、ある種の達成感を胸に9時38分に出社する。

社内はまだカオスの状態で、各社に送り返す段ボールと本の雑誌社の本であふれている。そんな中、青森のむつ市から定期購読の読者の方がいらっしゃる。お話していると坪内祐三さんの大ファンとのことで、坪内さんからお預かりしている自著本を見ていただくとその中に探していた本を見つけ、たいそう喜んでいただき、こちらも嬉しくなる。

昨日一昨日の売上スリップを整理し、売れ数を把握。社内開催&時短開催にも関わらず非常に多くの方に本をお買い求めいただき、ありがたいかぎり。そして神保町ブックフェスティバルに大感謝。神保町はやっぱりすごい。

その後、11月4日搬入の新刊2点の初回注文の締め作業に勤しむ。そして大いに反省する。

なぜ本を作るのか。それは本を売るためである。
本を売るとはどういうことか。それは一冊一冊の積み重ねである。

「楽しんで生きないのは、罪なことだ」と村上龍さんは『69』のあとがきに記していて、それは18歳以降の私の生きる指針になっている。

ただし同じ「楽」でも、楽(らく)して生きるのは最大の罪だ。楽して生きるのは、死体と一緒だ。

一冊でも多く本を売るために1分1秒無駄にしてはならない。1分1秒サボってはならない。

村上龍さんに誓う。

10月25日(日)神保町ブックフェスティバル2日目

4時52分起床。ひとまず雨は降っていない。天気予報では2時までは曇りマークになっており、祈るような気持ちで7時46分に出社する。

セブンイレブンのコーヒーを飲んでいると本の雑誌社に荷物を預けている出版社(140B、法蔵館、太田出版、ライツ社、酒とつまみ社)の面々がやってきて、この曇り空に賭ける想いたぎらせ台車に本を載せ、会場に向かっていく。われら本の雑誌社もそれに倣って、今日こそはすずらん通りに本を並べる。

10時の開始とともにお客さんがどどどとやってくる。売る方もそうだが、買う方もこの日を楽しみにされていたのだ。『Z世代の本の雑誌』を作った菅野さんもやってきたので、自ら手売り販売してもらう。12時過ぎには『本のある世は素晴らしい』の服部文祥さんもいらして、即席のサイン会を開催する

たくさんのお客さんがやって来てハッピーになっていると、予想通り14時前に雨が降り出し、あろうことか土砂降りとなる。あわてて本を濡らさぬようビニールシートで覆うも、自分自身は傘もさせずにびしょ濡れに。

もはやどうすることもできず、神保町ブックフェスティバル2日目は終了となる。無念だが、4時間だけでもすずらん通りで、本を売れたことに感謝。

しかし果たしてこの雨の中、どう本を片付けたらいいのかとすずらん通りの中心で雨に濡れながら思案に暮れていると、事務の浜田が「ワゴンごと会社に押していけばいいんじゃないですか!?」とコペルニクス的転回を提案してくる。なるほどワゴンにはコマが付いており、そのままガラガラと押していけば、軒先まで移動し、濡れずに本をしまえるのだ。

その頃、避難所のごとくなった本の雑誌社では、それぞれの出版社が荷造りに励んでいた。誰もが自分のこと以上に本を大切に扱っており、われわれはそういう生き物なのだ。

濡れたシャツを脱ぎ、販促用に作っていたTシャツに着替え、ひと息付いていると鴨葱書店の大森さんと一冊!取引所の渡辺さんもやって来くる。菊花賞を見たのち、築地食堂源ちゃんに向かい、おつかれ様会を開催。われら4Bの次作の企画を話し合う。

10月24日(土)神保町ブックフェスティバル1日目

5時27分起床。この数日、何十回何百回と見たYahoo!の天気予報では、昼まで曇りマークとなっていたものの外は雨が降っている。

7時47分出社。神保町は雨がやんでおり、神保町ブックフェスティバルの事務局から以下のような連絡が入る。

「本日ですが、雨の予報もありますが、現時点では降っていないのでひとまず開催といたします。

ただ、予報では午前中も小雨、午後から本降りの可能性がありますので、商品の保護を優先していただき、ご出店については無理のない範囲で構いません。
※途中の撤収も問題ございません。」

8時半にやって来た事務の浜田、アルバイトの鈴木くんと本を運び出すも、なんと雨がぽつりぽつりと降ってくる。

それでも本を並べ販売体制を整える出版社、そもそも本日は出店を取りやめる出版社、各社の判断となっており、いくら拭いても新たな水滴が落ちる販売台を眺めながらついに決断をくだす。

「今日はやめよう。その代わり社内で本を売ろう!」

運び込んだ本を会社に戻し、慌てて社内を整え、大机に本を並べる。事務の浜田は地図を描いて、会社で本を売っている旨を記し、すずらん通りのワゴンに貼り出しにいく。

怒涛のような急展開に疲労困憊。

そんな苦労をつゆとも知らず、事前の準備も当日の設営もせず、雨にもまったく濡れず、物見遊山に出社してくる人たちがいたので、あとはすべて任せ、昼過ぎに帰宅する。

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