7月10日(金)正味

  • 四十年目の春 (単行本文芸フィクション)
  • 『四十年目の春 (単行本文芸フィクション)』
    麻宮好
    祥伝社
    2,200円(税込)
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4時起床。朝ラン6キロ。本日のランリス(ランニングリスニング)は、ぼくみんのPodcast。『本をひらく』の共著者大森皓太さんが出演しており、ゲームの話が大変面白い。

走りはじめは清々しい空気だったが走り終えるころは汗滴る真夏。シャワーを浴びて、ゆで卵とトーストの朝食をとりながら、W杯フランス対モロッコを観戦。

観戦中、精文館書店中島新町店の久田さんから「3年前に出た『月のうらがわ』がよかったので時々気にしてたんですけど、新刊の『四十年目の春』(麻宮好/祥伝社)がまた、すこぶるよきで!最後泣いちゃいました。」とメッセージが届く。この最強のフランスを観ていない人類というのが多く存在することを思い出す。

2リットルのペットボトルの水をすずらん通りのツルハドラッグで買って(84円)、9時57分に出社。

午前中は細々としたデスクワークに勤しむ。

2日ほど昼メシを抜いたので、奮発してみさち屋でとんかつと唐揚げの定食。100円値上げで1200円となっている。ランチスタメンからメジャーリーグに移籍してしまった。

午後、駒込のBOOKS青いカバさんに「本の雑誌」の納品にあがると、久しぶりに店主の小国さんがいらして長話。

小国さん、常々思っていたのだけれどと、版元は新刊と既刊の正味を変えたらいいのではと。刊行から何年も経った本は版元も書店も売るのが大変なんだからそれは正味を下げて互いに売る気を掻き立てたら良いのではと。

なるほどすごいアイデアだ。倉庫に眠っている本は結局いつまで経っても表に出ることは少ない。置いておくだけでお金はかかるのだから版元にとってはかなりの負担になっており、ならばたとえば刊行から2年ごとに正味が2%下がっていくとか、刊行から5年経った本は正味をどーんと下げるなど刺激を与えるのは必要かも。

最近営業に出ていると正味の話になることが多い。このような提案のほか、実際に正味の交渉となることもある。今のところみんな独立系書店での話だけれど、営業を続けて30年以上になるがこういう感じははじめてだ。わくわくしてくる。

カバさんを後にして、汗をかきながら目黒さんのお墓まで歩いていく。線香をあげ、本の雑誌8月号をお供えする。煙が青い空にすっと上がっていく。

7月9日(木)校正ゲラ

  • 口開け酒場でひとり呑み
  • 『口開け酒場でひとり呑み』
    倉嶋紀和子
    本の雑誌社
    1,980円(税込)
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4時起床。昨日に引き続き某所から依頼を受けている案件にとりかかる。

それやりながら夜のうちにデザイナーの松本さんから届いていた新刊の装丁ラフを著者の服部文祥さんに転送する。服部さんも早起きなのですぐに感想と提案が返ってくる。編集者であり、かつては版元営業もされていた服部さんだけに注文のしにくいタイトルに不安を覚え、書名と副題を入れ替えることとする。『本のある世はすばらしい How wonderful life is while Books're in the world.』。

8時過ぎまでかかって、どうにかすべて終える。

9時半に出社。もはや今日の仕事は終えた気分なのだが、就業時間はこれからなので、仕事に励んでいると、服部文祥さんから再校の著者校が戻ってくる。あれれ、ゲラをB4用紙に出力して送ったはずなのになんでこんな小さな荷物なんだ?と首を傾げながら封筒をあけると、なんとなんと紙を切って折って貼って四六判に製本されているのだった。こんなゲラ(著者校正)見たことない‼︎  これは写真を撮ってXでポストせねば!と思ったけれど、先日三宅香帆さんが校正ゲラをポストして炎上していたので、ぐっと堪える。刊行イベント等があったら是非とも展示し見ていただきたい。

驚いていると八戸から読者の方がいらっしゃる。八戸の本屋さんの様子とヴァンラーレ八戸の話を伺う。

13時に倉嶋紀和子さんが来社され、本日搬入の『口開け酒場でひとり呑み』にサインをしていただく。「隙あらば呑む」という座右の銘をしたしめつつ130冊で1時間15分。早い。

そのサインしている間に信濃八太郎さんがやってきて、個展会場での売上伝票を届けてくださる。6日間で28冊の売上。信濃さんは日本一の版元営業かもしれない。

みな帰られたところで、今度は宮崎から読者の方がやってくる。推し活ついでというので何を推し活しているのかと伺うと佐野元春だという。そういえば今夜丸の内のコットンクラブでスポークスポークンワーズがあったのだった。しばし佐野元春談義に花を咲かせる。

夕方、『口開け酒場でひとり呑み』と『ミニシアターをたずねて』を持って神田明神へ。売れますように、重版かかりますようにと神頼みに勤しむ。

7月8日(水)キャッチフレーズ

朝4時起床。本日は朝ランを取りやめ、某所から依頼を受けている案件に向き合う。

8時までやって会社へ。9時45分出社。梅雨明け、だろうか。暑い。

午前中、会議。10月号の特集は「往復書簡」に、そして昨年神保町ブックフェスティバルに向けてこさえた(雨で売ることができなかった)ZINE 『神保町日記』を今年も製作することが決まる。

午後、中井の伊野尾書店改めBOOKSHOPトランスビューさんに直納に上がる(伊野尾宏之『本屋の人生』、高野秀行『チャットGPT対高野秀行 キプロス墓参り篇』『伸びしろマンがゆく!』)。

伊野尾さん曰く、来店客数は若干減っているが客単価は上がっているそう。お店の半分以上はトランスビュー扱いの本が並んでおり、それはかつての伊野尾書店ではあまりなかった本で、それらを数冊と重ねて買っていかれるお客さまを見ながら、以前の店作りを少し反省しているようだった。

本屋さんとは異なるけれど私もイベントで本を売っていて思うのは、お客さんは本当に何を買うかわからないということだ。データでもこちらの思惑でもなく、もはや「縁」というしかない。

電車に揺られながら昨日の飲み会で『ミニシアターをたずねて』の著者である信濃八太郎さんに言われた言葉が頭に浮かんでは消える。

個展会場から遅れてやってきた信濃さんは、生ビールをぐいっと喉に流し込むと、「僕、杉江さんのキャッチフレーズを考えてきたんです」と言うのだった。キャッチフレーズなんて求めていないし、そもそも発表する場もないのだから必要ないのだ。頼んでもいない余計なことをすると書いて信濃八太郎と読む、みたいなもんだろうか。

信濃さんはビール片手に学芸会で発表するがごとく声をあげた。

「理由は二の次、杉江由次(すぎえよしつぐ)」

完璧でしょうと微笑みを浮かべ、また生ビールをぐいっと飲み干す。

「理由は二の次」......。

たしかにそうかもしれない。

7月7日(火)「本の雑誌」8月号

  • 本の雑誌518号2026年8月号
  • 『本の雑誌518号2026年8月号』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    1,100円(税込)
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    HMV&BOOKS

4時起床。朝ラン6キロ。9時に出社。

本日は「本の雑誌」8月号が出来上がってくるのだけれど、その前に表参道のOPAギャラリーからいただいた追加注文(『ミニシアターをたずねて』)をもって納品にあがる。

急いで会社に戻るとすぐに中央精版印刷のTさんが「本の雑誌」を積んでやってくる。雨もギリギリセーフで、アルバイトの鈴木くんとともに台車に乗せ替え5階まで運び上げる。

3時過ぎまでツメツメ作業に勤しむ。

夜、編集の近藤と月島にいき、「肴や味泉」にて信濃八太郎さんと倉嶋紀和子さんと新刊刊行記念お祝い会。お二人とも信濃さんの師である安西水丸さんとこの居酒屋で酒を組み合わしていたそうで、楽しい夜となる。

7月6日(月)東京ブックツーリズム

5時起床。W杯ブラジル対ノルウェーを観る。ハーランドのゴールに雄叫びをあげる。7時過ぎに階下にいくと母親が起きて、着替えていた。

武里駅から出社。いつもは直通運転している半蔵門線で神保町まで来ているのだが、今日は気分を変えて北千住で千代田線に乗り換える。その千代田線、大変混んでおり、ぐぐっと押されて乗車すると背後にいたおばあさんが手をモゾモゾさせ、あろうことか私の尻を思いきりつねってきたのだった。おばあさんは逃げるように次の町屋駅で降りていったが、いったいなんだったんだろう。

10時27分に出社。昨日まで実家でやっていた校正チェックの不明点をメールやら原稿やらいろいろと付き合わせて確認していく。

午後、都営三田線で白山下車、そこから歩いて本の店&companyさんを訪問。先月、通り一本向こうから移転されたばかりなのだが、今度は白山駅からも本駒込駅からも近く、そして千駄木にも歩いていける。さらに人通りの多い道に面しているので、よき移転となったのではなかろうか。この移転先も実はお客さんの縁で見つけられたそうで、日々実直に暮らすということが大切なのだと教えていただいたよう。

このあたり、ブックツーリズムができる楽しいエリアになってきている。たとえばまず都営三田線で千石に向かい、旅と暮らしの本屋 アンダンテ、BOOKS青いカバを覗き、白山に移動。そこでは南天堂書房、本の店&companyを訪問し、千駄木に歩いて降りていけば往来堂書店、ひるねこBooks、まもなく再オープンするgururiがある。そこから不忍池を歩いていけば古書ほうろうがあり、不忍池をめぐって上野駅に出れば三省堂書店が駅にある。おそらくまだ私の知らない本屋さんもあるだろうし、ブックツーリズムで1日存分に楽しめるエリアだ。

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