WEB本の雑誌

11月29日(月)

 出る前はいったいどこまで覚えてもらえているんだろうか? とか、それこそ書店員さんが一回りしてしまって売れるなんて意識もなかったりした、原リョウ(字が出ません、スミマセン。アマゾンを確認したら「寮」の字をあてていた!!!)の約10年ぶりの新刊『愚か者死すべし』(早川書房)が、期待どおりか、期待を超えてか、本日廻った書店さん(神保町、池袋の数店)では、同日発売になった他の有名著者の新刊を押さえて、凄い勢いで売れているとか。

 いやはややっぱりみんな待っていたんですね。もちろん僕も待っていた一人で、即読了。今は、感想を言い合いたい気分。

 著者で本が売れなくなって久しい昨今、忘れられずに売れているというのは何だか他社商品なのに嬉しい。ある書店員さんは「ミステリーのファンはしっかり待ってくれて良いですよね」と話していたが、今年はまさに待たれた作家の新刊(シリーズ)が出まくった年かもしれない。

 そしてそれらがしっかり売れているのをみると、著者で売れなくなった理由を、読者の変貌に求めてはいけないという気がしてくる。著者に読者がつかないんじゃなくて、ただただその著者が面白いものを書き続けていないってことなんじゃないかという気がしてくる。

 読者(お客さん)はとってもシビアになって来ていて、つまらない作品を1、2作書いたりするとすぐ離れていってしまうのだ。いやー、恐い。でも、その代わりちょっと良い物を書くとすぐに誰かが拾ってくれるという傾向はあるけれど。

 なんだか作家になるのも大変だろうけれど、作家で居続けるのは本当に大変だ。そして出版社も著者名でなく、作品自体の質でしっかり判断しなければならなくなっているってことだ。