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4月12日(水)本屋さんで涙を流した日

 精神的疲労困憊。

 大きなひとつのストレスよりも、小さな悪意のない悪意の重なりのほうが、心を苦しめることを知る。「飲み込め」と自分に言い聞かせながら、いちばんの心の薬である営業にでかける。

 今年、駒込にオープンしたBOOKS青いカバさんに「本の雑誌」を届ける。新刊も古本も同時に扱う「本屋」さんであるが、オープン時には空いていた棚もいつの間にかしっかり埋まっている。在庫(買い取り)も順調なようで、元リブロのO店長がとても楽しそうにレジに立っているのがなによりだ。

 しばし古本の棚を物色し、こんな心持ちのときにぴったりな原田泰治『ふるさとの詩』(朝日文庫)と息子の中学の入学祝いに小島武夫『負けない麻雀』(日本文芸社)を買い求める。

 そのまま南北線に乗って王子に向い、O店長が大好きなブックス王子さんを初訪問。

 お店の佇まいから中に入った雰囲気まで、すべてが自分が子どものころ通っていた本屋さんそっくりで、気づけば涙があふれている。

 しばし呆然と涙を流していると、おそらく店長さんであろう補聴器をつけたおじいさんが、時代小説を買う常連さんに、「あれ、その巻買ってなかったっけ?」と声をかけ、また雑誌を買い求めようとしていたお母さんが抱っこしていた赤ちゃんが泣きだしてしまったところ、「ほらほら、これあげるよ」と言って、おもちゃをあげたりしいるではないか。

 本屋は人、と言われることがよくあるけれど、ならばこんなに素敵な本屋さんはないだろう。

 直帰後、ランニング。10キロ。ストレスはほとんど消える。

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