4月2日(火)
朝、早稲田の古書現世さん来社。新たな取り組みの打ち合わせ。
午後、やたらにあわてて仕事をさせられるなと思ったら、事務の浜田が緑色のビニール傘をさして早退。ヤクルトスワローズの神宮開幕へ向かったらしい。
ジェームズ・ブラッドワース『Amazonの倉庫で絶望視、ウーバーの車で発狂した』(光文社)を読了。非常に面白い。タイトルや帯の推薦文からその手の企業への潜入ルポものかと思って読み出したのだけど、確かに実際に働いてはいるものの、描き出しているのは過去から現在までの労働と、現代という世の中そのものだった。
社会というのは、てっきり何百年、何千年もかけて、生きやすい世の中を作り上げてきたのかと思いきや(自分自身どうして無根拠にそう思っていたのか考えるとそれはまたそれで怖い)、実際にはそんなわけはなく、2019年にもなって生きにくく、より暮らしにくくなっている実態や原因がこの本で明かされている。
ルポ自体はイギリスのことだけれど驚くほど日本もそっくりで、先進国の行き着く先というのはみんなこんな感じなんだとしたら、進歩というのはいったいなんなのか。それだけでなく、人間とは、会社とは、経済とは、社会とは、政治とは......とたくさんのことを考えさせられる書だった。
今のところ2019年上半期ベスト1ノンフィクション。ジェシカ・ブルーダー『ノマド』(春秋社)とともに必読。