« 前のページ | 次のページ »

1月28日(火)〜2月1日(土)

1月28日(火)

『本を売る技術』が東京堂書店さん週間ベストセラーランキング2位、Amazonでは「書店・古書店の本」で1位に。

 六本木のB書店さんを訪問すると「話さなくていいから、話されると泣いちゃうから」と遮られ、棚を見ると、坪内祐三さんの追悼コーナーがしっかり作られていた。ここのお店の人は、かつて渋谷店に勤務されており、そのお店は坪内さんが大変愛用していた本屋さんだった。きっとお二人は一言も会話したことがないだろうけれど、棚を通じて濃いコミュニケーションをしていたはず。

 鴎来堂兼かもめブックスの柳下さんより連絡あり、急遽会社に戻る。雑談。

 夜、御茶ノ水のM書店SさんとSさんのかつての部下だったCさんと酒。かつて別のお店で現在の仕掛け販売の火付け役のような販促をしていたお二人に、最も記憶にある仕掛け本はなんですかと問うと、小池真理子『墓地を見おろす家』 (角川ホラー文庫)と。私の記憶では高野和明『13階段』(講談社文庫)もすごかった。

1月29日(水)

 宮田珠己さんとG社の敏腕編集者Sさんとともに早稲田で待ち合わせ。穴八幡宮へ一陽来復のお守りを買い求む行列に並ぶ。ご利益ありますように。


1月30日(木)

「HONZ」にて『本を売る技術』を紹介してくださった田中大輔さんのところ(方丈社)へお礼に伺う。その足で、青土社のエノ氏のところへ寄り道し、とある案件の教えを請う。

 12時にY出版社のKさんがやってきたので、お茶を飲みつつ、これからの販促について語り合う。

 午後、荻窪の本屋Titleさんへ『本を売る技術』のツイートのお礼に伺い方々、このお店で買おうと決めていた『庭とエスキース』奥山淳志(みすず書房)を手に入れる。

 あちこちから追加注文の連絡が入り、『本を売る技術』の重版を決める。発売一週間。まさに「忽ち重版」である。まだ札も貼っていないのに一陽来復のお守りのおかげ。ありがたや。著者の矢部さんと小林さんに報告していると、こみ上げてくるものを抑えられず。


1月31日(金)

 本の雑誌スッキリ隊出動ということで、スッキリブルー(浜本)、スッキリイエロー(古書現世向井さん)、スッキリグリーン(立石書店岡島さん)とともに朝からワゴン車で宇都宮へ向かう。この車中の会話が今の私にとって最も楽しい時間であり、主に古書のことを聞き出し、この後の古書店開業のノウハウを盗むなんてことはまったく頭になく、昼に食べる餃子のことで3時間もちきりであった。スッキリグリーンの岡島さんは呆れ果て、この車中をカメラで撮影してユーチューブにあげたほうが古書買い入れよりも儲かるというのである。スッキリカメラ隊募集。

 高速道路代を浮かせるため4号バイパスをひた走り、たどり着いた宇都宮の一軒家には約2500冊の本がすでに整理用と避けられていて、いつものように浜本が依頼主とお話している間に、向井さんと岡島さんが手際よくビニール紐でくくっていき、私がそれを2階から玄関へ、玄関から駐車場まで運ぶ連携作業。こういう無我の境地になれる肉体労働は我が得意とするところなので、Tシャツ一枚になり、汗をかきかき階段を登り降りする。

 約1時間で整理完了。蔵書を積み込んだ車で宇都宮みんみん本店を目指し、午後の遅い時間だったため行列もなくすぐに入店。4人で焼き餃子8人前、水餃子4人前、揚餃子2人前を食して大満足のスッキリ隊改めまんぷく隊。道の駅に立ち寄りつつ帰宅。


2月1日(土)

 いつの間にか2月になっていて驚く。1月はどこへ行ってしまったのだろうか。
 天気良し。ランニング12キロ。富士山がくっきり見えたので足を止めてしばし手を合わせる。

 妻は出稼ぎの休日出勤のため、娘と息子に昼飯を作り、息子を塾に送り出し、娘をバイト先に送り届けてから、実家に車を走らせる。昨日買った宇都宮みんみんの餃子と『アオアシ』11巻から19巻を持っていく。

 先週実家の灯油を入れに行った際に、まもなく80歳を迎えようとする母親から「あんた、あたしになにか隠していることない?」と睨みつけられ、あんなことやこんなことを思い浮かべ震えていたところ、「このマンガの続きあるんじゃないの? 何度読み直しても終わってるとは思えないのよ」と『アオアシ』の10巻目を指差したのであった。

 それは私が家に置いておくのが邪魔で実家の本棚に並べていたものであり、マンガ好きの母親はどうやらそれを見つけて読み込んでいたらしい。しかし私の方は私の方で、実家に預けてからというもの佐伯泰英の時代小説を買い求むおじいさんさながら、自分がいったい何巻まで持っているのかわからなくなってしまい、続きの巻を買えずにいたのである。

 というわけで、今週出たばかりの19巻から11巻までを大人買いし、あわてて私と娘と息子で読んだ後、実家に持っていったというわけだ。

 母親はたいそう満足そうな顔をしていたものの、父親は何やらご立腹な様子で、その理由を聞いて私も腹を立てる。人の道を踏み外したものにはいつか必ず天罰がくだるであろう。

 餃子のお礼にみかんをもらって帰宅。群ようこ『別人「群ようこ」ができるまで』(文春文庫)を読む。

 夜、娘を迎えに行く。いろんな人からいろんな仕事を同時に頼まれた場合、どれから片付けたらいいかと聞かれたので、同時に頼まれないようおでこに今やっている仕事と依頼主を書いておいたらどうかとアドバイスするも、娘はスマホに夢中で聞いていなかった。

 屋根裏の息子の部屋でベッドに横になっているうちに眠ってしまい、夜中に目覚めるの息子はこたつで寝ていた。すまんすまん。

« 前のページ | 次のページ »