第11回「手塚治虫を知らないコドモたちに伝えたいその魅力」

Page 3 手塚治虫はマンガ文化の発明家!

手塚治虫はマンガ文化の発明家!

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©Tezuka Productions
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三つ目がとおる(1) (手塚治虫文庫全集)
『三つ目がとおる(1) (手塚治虫文庫全集)』
手塚 治虫
講談社
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『ブラック・ジャック』のほか、数々の作品に登場する「ヒョウタンツギ」というキャラクターもまた発明です。作者自身の声やツッコミを作中に反映する楽屋オチ――メタ視点を備えたキャラクターながら役割を限定せず、時にはギャグの一要素としても登場します。のちの赤塚不二夫作品で「ニャロメ」や「ケムンパス」といったキャラクターに引き継がれることになる役回りの原型が「ヒョウタンツギ」だと言われています。他にも「コノヤロー」という言葉を擬音語として使うなど、たくさんの発明を手塚治虫は世に生み落しているのです。

SFマンガも『鉄腕アトム』がその礎を築いたと言ってもいいでしょうし、『火の鳥』を歴史マンガとして捉えるなら、まだ昭和20年代だった1954年に「黎明編」の第一回は描かれています。『リボンの騎士』にしても、少女マンガにストーリー性を持ち込むという発明を成し遂げました。

また、手塚治虫は違う世界の文化をマンガに取り込む名人でした。昨年完結した『ホムンクルス』(山本英夫)というマンガにトレパネーションという頭蓋骨穿孔術が登場します。いまから30年以上前に描かれた『三つ目がとおる』の主人公、写楽保介の額にある三つ目も同じようなモチーフで描かれています。この作品が描かれた頃、トレパネーションも一部でブームになっていたようですが、当時は現代とは比べものにならないほど、情報の流通量も獲得手段も少なかったはず。なのに『三つ目がとおる』は情報が濃密で、ストーリーも練られている。どんな時代だろうと、真の天才は至高の作品を世に送り出し続けるのです。

今回の合宿であらためて手塚作品を読んで、ため息が出ました。好きなマンガのルーツをたどれは必ず手塚にぶち当たる。各作品についての詳細なレビューは、またいずれ書かせて頂こうと思っていますが、マンガが好きなのに手塚作品を知らないなんてもったいなさすぎる! 読んだことのない人はぜひ一度手に取られることを強力におすすめします。




HAKUEI的「手塚治虫を知らないコドモたちに伝えたいその魅力」とは
一、手塚治虫とはマンガ手法の発明家である
一、手塚治虫はマンガ方程式の発明家である
一、手塚治虫はマンガ文化の発明家である

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