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2007年3月 花冷え腹巻き号

 2007年も明けてはや3カ月。出版界には相変わらず北風ぴーぷー吹いていて、雪解けの時期もなかなか見えないが、どっこい、冬の次には必ず春がくるのだ! というわけで本の雑誌3月号の特集は「2007年に期待する出版界のこの人!」。出版社から書店に編集者、版元営業に装丁家、そして翻訳家に文学賞に読者まで、2007年の出版界を背負って立つ期待の星を総まくり。中には国会の読書有給化委員会だの書店談合システムだの、期待というより、あればうれしい夢の要望もでてきたが、とにかく、今年の出版界はおまかせの逸材たちが揃って、さあ、友よ、春は近いぞ!

 新刊めったくたガイドは三橋暁がウォルター『市民ヴィンス』にぐりぐりの五つ星を打てば、牧眞司はペレックの鮮やかな騙しに横隔膜をぴくぴくさせて、降参。大森望が2007年はニール・ゲイマン元年である!と断言すれば、大矢博子は理想vs現実の日米主婦対決で、どっかーん。永江朗が絲山秋子の二短編を注意深く読んだかと思うと、東えりかは佐藤優『獄中記』512日間5200枚の記録に戦慄! そして北上次郎は真保裕一の姉弟小説『最愛』がいつまでも胸に残り続けて、じーん。さあ、あなたもぐりぐりぴくぴくどっかーんといってみよう!

 そして今月は「笹塚日記」が、なんと最終回! 還暦を迎えた顧問・目黒がいよいよ4階のトトロの森から引越し、町田に引っ込む直前の日々が登場だ。笹塚に移転して14年、トトロの森にこもって6年。走馬灯のようにくるくる巡る思い出をふりきって、はたして目黒は町田に無事、移れるのか!? なんだか遺書を書いているような気がしてきた、と本人が書く最終回はページ倍増の8ページ。さあ、ちょっぴりセンチな笹塚の春を本の雑誌3月号でじっくり堪能してくれぃ!

目次

今月の一冊

笹塚日記(最終回)  目黒考二
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/ディドロの自由な小説に愛! 豊崎由美

特集:2007年に期待する出版界のこの人!

アンケート/読者の期待十二連発!
座談会  
・2007年はてっちゃんに期待だ!?  
コラム  
・行け行け日経小説大賞! 杉江松恋
・トランスビューな人たちよ、出てこい! 石橋毅史
・書店談合システムが欲しい! 永江 朗
・ギャルとおじさんに注目だ! 高頭佐和子

吉野朔実劇場/犬の目 吉野朔実
ポップ猪鹿蝶 鏡明
南の話/ ほうぼうへレールロードで 青山南

新刊めったくたガイド

ウォルター『市民ヴィンス』に文句なしの五つ星! 三橋暁
米英仏の笑撃文学が揃いぶみ ペレックの騙りに横隔膜が痙攣する 牧眞司
2007年はニール・ゲイマン元年である! 大森望
理想vs現実の日米主婦探偵対決だ! 大矢博子
絲山秋子の二短編を注意深く読むのだ 永江朗
佐藤優『獄中記』512日間の記録に戦慄! 東えりか
真保裕一『最愛』は胸に残る姉弟小説だ 北上次郎

イタリア発の内省的なハードボイルド 穂井田直美
モノクロ写真と司馬作品に近代日本を想う 神谷竜介
やる気と元気が嬉しい書店員日記 田口久美子
堀晃の大傑作ハードSFが大拍手の復刊だ! 山岸真
裸をやめて、裸にします? やっぱり裸が好きなのね 近藤庄太郎
怪盗紳士ここにあり! 森英俊
アニミズムの知恵に光をあてる『一神教の闇』 渡邊十絲子
世界七十七の言葉で綴られた「ありがとう」の本 川上賢一

続・棒パン日常/共感と驚異・その3 穂村弘
三角窓口/タージュ君の出世物語が読みたい!他  
長島千尋のうきうき道場 長島千尋

坪内祐三の読書日記/富士正晴はガルシア・マルケスの同時代作家だ坪内祐三
サブカルチャー創世記/晶文社にもどる 津野海太郎
悪党どもの肖像/アメリカのギャングとフランスの強盗一味 吉野仁
ヒーローたちの荒野/出色の評論『私のハードボイルド』 池上冬樹
日本SF戦後出版史/〈S-Fマガジン〉苦闘の時代の巻 高橋良平
自在眼鏡/日本最強のヒロインが移籍した!他   
コラム
・今月の林カケ子 林カケ子
・ミミ中野のこれいただくわ ミミ中野
・古本屋セドロー君の午後 向井透史   
岸和田DNA/学生服とカオルちゃん 中場利一
チェコ好きのミニコミ誌『CUKR』が楽しい! 柴口育子
『例えばイランという国』を太鼓判でオススメだ! 高野秀行
最高に最低の天才平山夢明を見逃すな! 霜月蒼
ドイルが奔走したオスカー・スレイター事件 柳下毅一郎
掲載図書索引

「心にナイフをしのばせて」の弁護士的読み方 ローヤー木村
歩く旅ひとやすみ/息子とコーヒー 沢野ひとし
今月のお話/写真展会場の客 椎名誠
後記

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