第133回:加藤千恵さん

作家の読書道 第133回:加藤千恵さん

高校生の頃に歌人としてデビュー、最近では瑞々しい筆致で描きだす恋愛小説でも人気を博している加藤千恵さん。北海道で生まれ育った少女が短歌と出会ったきっかけは、そしてデビューするきっかけは? あの甘く切ないシーンを繊細に切り取る感性の源泉にあるものは? 納得の読書遍歴が浮かびあがります。

その2「中高生の頃から今も好きな作家たち」 (2/5)

宇宙のみなしご
『宇宙のみなしご』
森 絵都,杉田 比呂美
講談社
1,404円(税込)
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キッチン (角川文庫)
『キッチン (角川文庫)』
吉本 ばなな
角川書店
432円(税込)
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落下する夕方 (角川文庫)
『落下する夕方 (角川文庫)』
江國 香織
角川書店
605円(税込)
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先生! (1) (集英社文庫―コミック版 (か42-3))
『先生! (1) (集英社文庫―コミック版 (か42-3))』
河原 和音
集英社
669円(税込)
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エースをねらえ! (1) (ホーム社漫画文庫)
『エースをねらえ! (1) (ホーム社漫画文庫)』
山本 鈴美香
ホーム社
669円(税込)
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――中学時代、小説はどのようなものを読みましたか。

加藤:学校の図書室や市の図書館で気になるものを読んでいました。森絵都さんの『宇宙のみなしご』を読んで、バイブルだ!と思いました。大人になって森さんにお会いした時も勢いよく「バイブルです!」とお伝えしちゃったくらい。そこから森さんの児童文学を何冊か読みました。あとは村上春樹さん、江國香織さん、角田光代さん、山田詠美さん、よしもとばななさん...。よしもとばななさんは『キッチン』に入っている「ムーンライト・シャドウ」がいまだに読むと震えてしまうくらい好きです。江國さんの『落下する夕方』は好きすぎて中3の頃写経のようにノートに写していました。いまだに読み続けている方たちが多いですね。読み方や受け取り方は変わっているかもしれませんが、好みは一貫しています。当時は意識しているわけではなかったんですが、言葉の選び方やひらがなの多さ、漢字のひらき方なんかが好きなのかもしれません。漫画は『りぼん』に加え、いくえみ綾さんや河原和音さんの『先生!』など少女漫画を引き続き読んでいました。これも今も本当に変わっていないですね。大人になっても読み返しています。

――周囲と比べても本が好きな子だったのですか。

加藤:本好きかどうかはもともと家に本があるかどうかというのが大きいと思うんです。うちには全然なかったので、すごく読んでいるほうではなかったんじゃないかな。でも漫画は好きで、高校では友達と好きな漫画のことをよく話したりしていましたね。それで大島弓子さんを知って大好きになりました。あとはフィーヤン系...『フィールヤング』系の漫画家さんたちを読むようになりました。南Q太さん、おかざき真里さん、岡崎京子さんとか。岡崎京子さんは大好きで、『東京ガールズブラボー』という作品を読んでから、私も東京に行きたい!と思うようになりました。同じ登場人物が出てくる『くちびるから散弾銃』は女の子3人がただ話しているだけなんですが、これはあえて去年の29歳の誕生日に読み返しました。あとは母親がナンシー関さんのエッセイを買ってきて、それが面白かったので中高時代はすごく読んでいましたね。

――読み物の他に好きだったもの、夢中になったものってありましたか。

加藤:私、小説を書いていながら漫画と音楽とお笑いが偉いって思っているんです。すごく好き。お笑いは小中学生の頃に『ボキャブラ天国』が放送されていたんですよ。爆笑問題とか、当時は海砂利水魚という名前だったくりーむしちゅーとか、今でも活躍している人たちがいっぱい出ていました。爆笑問題さんはすごく好きで書籍も読んだしラジオも聴いていました。音楽は高校の頃にハマったのはリアルタイムで活躍している人というよりも少し前に流行った人たちで、フリッパーズギターとか岡村靖幸さんとかを聴いていました。CHARAさんのファンクラブにも入っていました。ゲームもよくしていましたね。「ときメモ」や「ドラクエ」は今でも好きです。

――音楽を聴く時も歌詞の言葉選びは大事だったりしますか。

加藤:歌詞は大事ですよね。なので洋楽は全然聴かないんです。最近聴いているのは、相対性理論とかくるりとか、スガシカオ、サンボマスター、back number...。

――脱線しますが、そういえば加藤さん、ももクロが好きですよね。

加藤:好きですね。もう、ももクロ自体が物語になっているんですよ。キラキラしているんですよ(笑)!

――なるほど(笑)。ところで運動ができないとのことでしたが、北海道ですからウィンタースポーツはしなかったのですか。

加藤:運動は苦手というか嫌いで、高校時代は体育の授業をサボっていました。私がやることではないな、と思って(笑)。でもスキーは北海道で普通のレベルだったので、こっちに来た今はわりとうまいほうじゃないか......と、信じています。スポーツといえば、漫画の『エースをねらえ!』は好きでしたね。本当に感動しました。私、今でも仕事で使うパソコンに「『エースをねらえ』名言集」みたいなものを入れてあるんです。それを仕事の前に読むこともあります。「いいか、岡。コートでは誰でも一人だ、今までの練習だけがお前を支える」とか(笑)。精神論のところではっとさせられるんです。

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