第188回:益田ミリさん

作家の読書道 第188回:益田ミリさん

日々のささやかな感情を丁寧に、そして鋭く掬いとる作風が魅力のイラストレーターの益田ミリさん。彼女の心を動かすのはどんな本たちなのか? 意外な変遷があって今の職業に就くまで、その時々で背中を押してくれた本たちについても教えてもらいました。

その5「人のお薦め本を読む」 (5/6)

  • ぼくは勉強ができない (新潮文庫)
  • 『ぼくは勉強ができない (新潮文庫)』
    山田 詠美
    新潮社
    464円(税込)
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――その後の読書生活は。

益田:おすすめされた本は素直に読んでました。20代の終わりに山田詠美さんの『ぼくは勉強ができない』や、『晩年の子供』を読みました。素晴らしいなと思いました。向田邦子さんのエッセイを知るようになって、「すごい本がある」ってまたまた興奮して。まわりは、もうとっくに読んでるわけですが、私は「素晴らしい本に出合った!」と、驚き、感激してました。

――漫画は、『中学生日記』の他にどんなものに惹かれましたか。

益田:西原理恵子さんの漫画も20代の終わりにはじめて知って「こんな斬新なコマ割りがあるんだ!」と。『スラムダンク』はそれまでは男の子が読むものとして自分の世界には入っていなかったんですけれど、バイト先の女の子が「本当に面白いから読んで」って全巻紙袋に入れて持ってきてくれたので読みました。当然、「面白い!」と感動するわけです。今は自宅に全巻揃ってます。とにかく、上京して、読書経験が圧倒的に少ないことに気づきました。夏目漱石の『坊ちゃん』を読んだのも30代になってからですし。閉ざされた日記の世界を満喫した後、ゆっくり本の世界に入ったという感じです。

――日記はもう書かなくなっていたのは、日記が作品に替わったということでしょうか。

益田:そうですね。最初の川柳集や漫画を出した頃に書かなくなっていきました。今は逆に日記を書くとそれで消化してしまうので、あえて書かないです。

  • Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)
  • 『Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)』
    井上 雄彦
    集英社
    1,008円(税込)
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  • こころ 坊っちゃん (文春文庫―現代日本文学館)
  • 『こころ 坊っちゃん (文春文庫―現代日本文学館)』
    夏目 漱石
    文藝春秋
    583円(税込)
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